初心者でも飲みやすいビール|選び方やおすすめ銘柄をビールメーカーが解説
こんばんは。「よなよなエール」のメーカー・ヤッホーブルーイングの「豪ちゃん」です。突然ですが、「ビールって苦くて、飲みやすいのが見つからない…」「たくさん種類があるみたいだけど、選び方が分からない…」そんな風に思ったことはありませんか? 僕もチューハイやワインは飲めましたが、しばらくビールは飲みにくくてハマりませんでした。
そこで今回は、初心者でも飲みやすいビールの選び方や種類、飲みやすいビールの銘柄をクラフトビールメーカーのスタッフが紹介します! 新たなビールの世界に出会えるかもしれませんよ。
ビールはなぜ飲みにくいのか?
ビールが飲みにくいと感じる主な理由は、ズバリその苦味。苦味は人間が本能的に避けるようにできている味覚なんです。最初は多くの方がこの苦味によってビールを飲みづらいと感じますが、経験を重ねることで好きになっていくことも明らかになっています。
▼味覚の研究者・菅 慎太郎さんにビールがおいしく感じる理由を聞いてきた記事はこちら
本能的に「まずい」はずのビールになぜハマる? 味覚のプロに聞く、ビールがおいしくなるメカニズム
初心者でも飲みやすいビール選びのポイント
ジョッキでグビグビと飲むのがビールのイメージですが、実は種類や味わい方もたくさんあります。自分に合ったビールを選ぶことで、初心者でも飲みやすいものに巡り合えることも! ここでは初心者でも飲みやすいビール選びのポイントをご紹介します。
【初心者でも飲みやすいビール選びのポイントまとめ】
・アルコール度数をチェック
・苦味はIBUという数値でチェック
・香りをチェック
・酸味でえらぶ
・炭酸の強さでえらぶ
・温度を変えて飲むと飲みやすく感じることもある
・グラスによっても飲みやすく感じる
アルコール度数をチェック
味だけでなくアルコール度数も、ビールの飲みやすさに関わってきます。アルコール度数の高いものは苦みが強かったり飲み口が重たかったりする傾向にあります。ビールのアルコール度数は5%前後のものが多いので、アルコール度数3~4%台のビールや1%未満の「微アル」ジャンルを選んでみるのも手です。
ビールのアルコールが生まれる仕組みなど、こちらでさらに解説しています。
ビールのアルコール度数は何パーセント?アルコール度数ごとのオススメビールも紹介します
苦味はIBUという数値でチェック
「苦いからビールは苦手……」という方におすすめしたいのが、IBUという苦味の数値が低いビールを選ぶこと。IBUは「国際苦味単位」のことで、高いほど苦みが強くなります。日本で広く飲まれているスーパードライなどのラガービールのIBUは、大体20前後のものが多いので参考にしてみてくださいね。
IBUについてはこちらで解説しています。
ビールの表記の「IBU」ってなに?計測方法も解説します
香りは飲みやすさにかかわる
ビールには、「エールビール」というエール酵母を使ったビールがあります。エールビールはラガービールよりもフルーティーな香りが特徴の1つで、ビールが苦手な方も飲みやすいものが多いのです。ビールによってバナナ・オレンジ・ピーチなどさまざまな香りが楽しめるので、自分が飲みやすく、好きな傾向にある香りのビールを選ぶのもおすすめ。
エールビールについて、こちらで解説しています。
香りとコクを味わう エールビールとは
酸味も飲みやすさにかかわる
ほどよく酸味のあるビールは、飲みやすいとして多くの方に親しまれています。中でもエールビールの一種「ベルジャンホワイト」「セゾン」といったビアスタイル(ビールの種類)は、ほどよい酸味があり飲みやすいです。ちなみにワインやレモンサワーでも酸っぱいのが好きな方は、「サワーエール」「ゴーゼ」といった強い酸味が特徴のビアスタイルもハマるかも……?!
炭酸の強さでえらぶ
ビールの飲みやすさで意外と見落としがちなのが、「炭酸の強さ」です。ビールと聞くと喉がピリピリするような強炭酸をイメージする方が多いかもしれませんが、炭酸が弱い方が口当たりがやさしく飲みやすいことも。特にエールビールの一種である「ヴァイツェン」「ベルジャンホワイト」といったビアスタイル(ビールの種類)や、黒ビールも比較的炭酸が弱めのビールが多いですよ。
温度を変えて飲むと飲みやすく感じることもある
ビールといえば5℃くらいにキンキンに冷やして飲むのが一般的といえます。しかしエールビールなどの香りが特徴のビールは、少しぬるめの温度で飲むのが最も本来のおいしさを味わえる飲み頃温度であることも多いのです。ビールに合わせた飲み頃温度で飲めば、今までより飲みやすく、おいしく感じることもあるかもしれません。
▼こちらの記事で、ビールの飲み頃温度について解説しています。
ビールの飲み頃温度は「ビールの種類」によって違う?ビールをおいしく飲むための「適温」の話
グラスの種類によっても飲みやすく感じる
ビールは缶から飲んでもおいしいですが、グラスに入れることでさらに本来の香りや口当たりを楽しめることが多いのです。ビールを飲むためのグラスの形はさまざまで、グラスを変えるだけで飲みやすく感じることもあります。
▼ビールを飲むグラスの選び方について、こちらで詳しく解説しています。
ビールのグラス、どれ選ぶ?よりおいしく飲むための「ビールグラスの選び方」
飲みやすいビールの種類(ビアスタイル)を紹介
飲みやすいビールの種類を、特徴と飲みやすい銘柄も交えながらご紹介します! 銘柄は私たちの社内アンケートでの投票も参考にしています。
ヴァイツェン(白ビール)
ヴァイツェンは、小麦麦芽を使ったドイツの伝統的なビール。苦味が少なく、バナナやピーチを思わせる甘く奥深い香りが特徴で、はじめてビールを飲む方にもおすすめのビアスタイルです。
飲みやすいヴァイツェン①:銀河高原ビール
小麦麦芽を50%以上使用し、酵母を取り除かないことで生まれる“自然なまろやかさ”。自然体で過ごす時間にそっと寄り添う味わいです。酵母由来のフルーティで奥深い香りもあり穏やかに心を満たします。(公式サイトは こちら )
飲みやすいヴァイツェン②:エルディンガー ヴァイスビア ヘーフェ
ドイツ・バイエルンで1886年に創業した歴史を持ち、世界トップクラスの小麦ビールメーカーとなったエルディンガーのヴァイツェン。少し濁りのある金色と、きめが細かくクリーミーな泡が特徴で、苦みが少なく爽やかな味わいが楽しめます。
ベルジャンホワイト(白ビール)
「飲みやすいビール」の代表格としてよく挙がるのがベルジャンホワイト。その名の通りベルギー発祥で、ヴァイツェンとならんで白ビールの代表的なビアスタイルです。こちらも小麦由来のやさしい味わいが特徴です。
飲みやすいベルジャンホワイト①:水曜日のネコ
あまりビールに馴染みのない人にも気兼ねなく手にとって頂きたいという想いから生まれた「水曜日のネコ」。青リンゴを思わせる爽やかな香りと、穏やかな苦味でやさしい味わいが特徴です。(製品ページは こちら )
飲みやすいベルジャンホワイト②:ヒューガルデンホワイト
約600年の歴史と、唯一無二のオリジナルレシピから生まれた、ベルギーホワイトビールの王道。オレンジピールとコリアンダーシードの完璧な組み合わせが生み出す、香り華やぐフルーティーな味わい。社内アンケートでも、飲みやすいビールとして多くの名前が上がりました。(公式サイトは こちら )
セゾン
かつてベルギーで、農家が夏の農作業の合間にのどを潤すためにつくられていたビアスタイルです。比較的飲み口が軽く爽やかな味わいで、苦味も強くないものが多いためおすすめです。
セゾンについて、こちらの記事で解説しています。
セゾン(Saison)ってどんなビール?
飲みやすいセゾン①:僕ビール君ビール
レモンやマスカット、ハーブを思わせる軽快な香り。酸味によって生まれる奥深い味わいを持ちながら、アルコールは4.5%と軽い飲み口。こんなビールもあったのかと、イメージががらりと変わります。ローソンやナチュラルローソンで販売中です。(製品ページは
こちら
)
※一部取り扱いのない店舗もございます。
飲みやすいセゾン②:Far Yeast Brewing Far Yeast White
ファーイーストブルーイングの、ドライでシャープな飲み口が特徴のセゾン。フルーティなエステル香と爽やかなホップの香りが楽しめます。ホップの苦味は少なく、心地良い酸味を感じるほどドライなフレーバーです(製品ページは こちら )。
フルーツビール
フルーツビールは、原材料の一部にフルーツを使ったビール。フルーツ由来の甘みやフルーティーな香りで、飲みやすいものも多いビアスタイルです。使われるフルーツはレモンやオレンジのほか、りんごやメロンなど実にさまざま。ブルワリーによって地域の名産品を使ってつくることも多く、個性に溢れたビールが多いのも魅力です。
飲みやすいフルーツビール①:前略 好みなんて 聞いてないぜSORRY 其ノ四
「柚子」をふんだんに使い、「あら塩」で柚子の香りを引き立たせました。柚子の爽やかな味わいにあわせて、アルコール度数とボディを抑えることで、軽快な飲み口の一杯に。(製品ページは
こちら
)
※このビールは期間限定発売です。販売状況についてはヤッホーブルーイング公式SNSまたは「よなよなの里」でお知らせいたします。
飲みやすいフルーツビール②:ベアレン レモンラードラー
ベアレンの「ラードラー」はとても飲みやすいです。元々はドイツで親しまれているビールのレモネード割りから生まれたビアスタイルで、初心者でもおいしく飲めること間違いなし。アルコール度数2.5%と低めなのもポイント。レモンのほか、季節限定でかぼすや山ぶどうのラードラーもあります。(製品ページは こちら )
黒ビール(スタウト・ポーター・ブラックIPAなど)
苦手な方も多い黒ビールですが、実は苦味が穏やかで飲み口もまろやかなので、意外と飲みやすいと感じる方もいます。中でも「チョコレートスタウト」「ミルクスタウト」といったビアスタイルは、ビールのイメージを覆すような甘みのある味わいでハマってしまう人も。コーヒー好きの方は「コーヒースタウト」というコーヒー豆を使ったビアスタイルならおいしく飲めちゃうかも……⁈
▼黒ビールについては、こちらの記事でさらに解説しています。
黒ビールはなぜ黒い?ビールメーカーが語る「黒ビールの秘密」
飲みやすい黒ビール①:軽井沢ビール クラフトザウルス ブラックIPA
私たちヤッホーブルーイングが軽井沢エリア限定で販売している黒ビール。黒ビール特有のほろ苦さはありつつも、オレンジのようなフレッシュな香りも楽しめるビールです。
※期間限定で、軽井沢エリアのスーパーやコンビニ、小売店などでお買い求めいただけます。
軽井沢ビール クラフトザウルス ブラックIPAの開発秘話はこちら
「軽井沢ビール クラフトザウルス ブラックIPA」こだわりの製法の秘密
飲みやすい黒ビール②:宮崎ひでじビール 栗黒 KURI KURO Dark Chestnut Ale
宮崎県産栗を原材料に開発され、TBSテレビ「マツコの知らない世界」でも紹介された黒ビール。コーヒーのような香ばしいフレーバー、栗の上品な香りと重厚なコクが特徴です。チョコレートなどのスイーツとの相性も良く、バニラアイスにかけて、大人のデザートとしても楽しめます。(製品ページは こちら )
微アルコールビールテイスト飲料
アルコール度数が1%未満の微アルコール(微アルとも)。飲み口の軽いフルーティーなものもあり、特にアルコールが苦手な方のビール入門にピッタリです。
▼「微アル」についてはこちらで解説しています。
微アルコールとは?定義や楽しみ方、おすすめの銘柄をビールメーカーが紹介
飲みやすい微アル①:正気のサタン
アルコール度数0.7%の微アルIPA「正気のサタン」。プルタブを開けた瞬間、柑橘系アロマホップと酵母が織りなすシトラスやトロピカルフルーツを思わせるフレッシュな香りが立ち上がります。国際ビール大賞のノンアル部門では金賞も受賞(製品ページは
こちら
)。
※本製品はアルコールを含みます。20歳未満の方、妊娠中や授乳期の方、自動車等運転される方は飲用をおやめください。
飲みやすい微アル②:CIRAFFITI(シラフィティ)
微アル専門ブランド「CIRAFFITI(シラフィティ)」。まるでクラフトビールのような、ホップの香りや苦味をしっかり感じながら、多様なスタイルや個性豊かな味わいを実現。ラインナップは左からSession IPA・Sour Ale・Salty Saunaの3種。(シラフィティブランドサイトは こちら )
飲みやすいビール番外編:よなよなエール
私たちヤッホーブルーイングの看板ビール「よなよなエール」も、口コミで「初心者に勧めたい」「ビールが苦手でも飲みやすい」とのお声をいただいています。クラフトビールの王道の味わいを目指し、柑橘類を思わせるフレッシュな香りと、やさしいモルトの甘みが特徴のよなよなエール。まだビールにハマっていないという方にこそ、一度試していただきたいビールです。全国のローソンや一部のスーパーで販売中です。(製品ページは
こちら
)
※取扱いのない店舗もございます。
あとがき:ビールが苦手な方は、まだ自分に合ったビールに出会っていないだけかも?!
現在ビールメーカーに勤めている僕ですが、元々はチューハイやワイン、日本酒までおいしく飲めたのにビールはハマらず、「最初の1杯を付き合いで飲む程度」でした。ですが両親が飲んでいたセゾンビールを飲んでみると「こんなに飲みやすくておいしいビールがあるんだ!」と衝撃を受け、それからは居酒屋でよく出てくるラガービールをはじめ、どんどんいろいろなビールが飲めるようになりました。
実はヤッホーブルーイングのスタッフでも、元はビールが苦手だった人が少なくありません。でもみんな自分に合ったビールを飲んだのがきっかけで、ビール業界に入社してしまうくらいにハマってしまったのです(笑)。
この記事を読んだ方が、自分好みのビールに出会えますように!