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【お医者さん監修】「ビールはプリン体が多いから痛風になる」は誤解だった?予防方法もあわせてビールメーカーが解説

【お医者さん監修】「ビールはプリン体が多いから痛風になる」は誤解だった?予防方法もあわせてビールメーカーが解説

「痛風が怖いからビールは避けてるんだよね……本当は飲みたいんだけどプリン体がさ……」飲み会で、よくそんな声を耳にします。

たしかに、ビール=プリン体が多い=痛風になるというイメージがあります。でもこれ、実際本当なのか?!

気になった「よなよなエール」のスタッフ・まりもが、著書『朝のコーヒー、夜のビールがよい仕事をつくる』のなかで「ビールを飲むと痛風になる、という認識は正しくない」と語るマブチメディカルクリニック院長の馬渕知子先生にお話をうかがいました。

話を聞いた人:マブチメディカルクリニック院長/学校法人食糧学院学院長 馬渕知子先生

マブチメディカルクリニック院長/学校法人食糧学院学院長 馬渕知子 先生

馬渕知子先生
東京医科大学医学部医学科卒業後、同病院に勤務。その後 マブチメディカルクリニック を開設(院長)。食品が身体に及ぼす影響についても独自に研究。学校法人食糧学院学院長を務める。著書に『朝のコーヒー、夜のビールがよい仕事をつくる』、『「デキる人」ほどなぜ人間ドックに行くのか?』など。

痛風ってどんな病気?

痛風は、血液中の尿酸濃度が高くなり、それが結晶化することで足の指や足首、膝などの関節が腫れて痛くなる病気のこと。

プリン体が多い食材を摂取すると痛風になりやすいと言われていますが、なぜ? そして、ビールにはプリン体が多く含まれているとされていますが、それは本当? 以下で詳しく解説していきます。

プリン体とは何か?

スイーツのプリンがお皿の上に乗っている様子
デザートのプリンとは関係ありません

まりも:そもそも、プリン体って何なのでしょう?

馬渕先生:プリン体と聞くと「体にとって悪いもの」とイメージされる方も多いですが、DNAなど遺伝子の構成成分のひとつで、生命活動には欠かせない重要な栄養成分なのです。

まりも:ええ! 栄養成分なんですか?

馬渕先生体内のプリン体は細胞の代謝や増殖などに利用されるので、人間の体になくてはならないものなんですよ。
プリン体はあらゆる食品に含まれているため毎日の食事を通して摂取していますが、実は私たちの体内でプリン体の約8割が生成されているのです。

まりも:ほとんどは自分の体内でつくられているのですね!

「 ビールはプリン体が多いから痛風になる」は間違い?

吹き出しでビールを想像しながら、痛む足首を押さえている眼鏡をかけた中年男性のイラスト

まりも:プリン体は人間の体になくてはならないもの……では、なぜプリン体は痛風の原因とされているのでしょう?

馬渕先生:体内のプリン体の量が多すぎると使わない分は分解されて尿酸として体外に排出されますが、尿酸が多くなりすぎると血液の中に尿酸がたまってしまいます。

痛風は、血液中の尿酸濃度が高くなり、それが結晶化することで足の指や足首、膝などの関節が腫れて痛くなる病気なので、プリン体の影響が指摘されているわけです。

まりも:プリン体がワルモノ扱いされているのはそういうわけか……。それではやはり、ビールを飲みすぎると痛風になるということですよね?

馬渕先生:理屈としてはそういうことですが、実はビールに含まれるプリン体の量は、たかがしれています。

まりも:えっ? そうなんですか? プリン体といえばビールのイメージでした。

馬渕先生:他のものと比較してみましょう。

プリン体含有率(食品別比較)

食品名  プリン体含有率

煮干し、鰹節、干し椎茸、鶏レバー、
丸干しいわし、豚レバー、大正えび、まあじ、牛レバーなど

特に多い食品
100~40mg/100g中

まいわし、かつお、車エビ、大豆、
牛心臓、スルメイカ、にじます、生さんま、あさりなど
多い食品
100~50mg/100g中
コンビーフ、焼きちくわ、えのきたけ、
ほうれん草、ベーコン、プレスハム、カリフラワーなど
少ない食品
50~20mg/100g中

ビール、鶏卵、野菜、果物、コーヒー、牛乳、プロセスチーズ、
すじこ、小麦粉、かずのこ、ごはん、焼きかばぼこなど

ほとんど含まない食品
20~0mg/100g中
 


出典:『痛風 痛みと尿酸を抑える』細谷龍男著、法研発行、1994より
 

まりも:えー! プリン体の含有率は、ビールより椎茸の方が圧倒的に高い!?

馬渕先生:プリン体は「旨味成分」が多い食べ物に多く含まれています。椎茸、大豆、ほうれん草などはヘルシーなイメージのある食品ですが、実は含有率が高いんです。

プリン体が多く含まれている食品を並べた写真。魚、海老、肉、しいたけ、ブロッコリー、チョコレート、ナッツ、豆、ボトルワインなどが並ぶ

まりも:なるほど。とはいえ椎茸を一度に100g食べることはないですよね。ビールも350ml缶に置き換えたら結構な量なのでは?

馬渕先生:ビールはメーカーさんによって異なりますが(※ビールのプリン体は麦芽由来)、100ml中のプリン体の量は5.5~11mg程度。つまり350ml缶1缶飲んでも19.25-38.5mg程度です。

一日のプリン体摂取目安は400mgですから……
 

まりも:毎日ビール10缶飲む人はそうそういないと。

馬渕先生:そうです! 椎茸を一度に100g食べることはないかもしれませんが、かつおやエビ、ベーコン、大豆などは毎日の食事に登場するものですよね。まずは「ビール=プリン体」という概念を捨てて、一日の食生活トータルでプリン体の量を考えてみてください!

痛風予防!正しいビールの飲み方

赤く腫れた足先を押さえ、頭を抱えるスーツ姿の中年男性の写真

まりも:プリン体含有率比較の表を見ると、なぜ世間ではこれほどまでに「ビール=痛風」と言われているのか、不思議に思えてきました。

馬渕先生「ビール=痛風」は、実は間違ってはいません。

まりも:プリン体の含有比率は低いのに、ビールを飲むと痛風になりやすいのは本当???

馬渕先生痛風の原因を招くのは、ビールそのものというよりも、その「飲み方」です。

鍋料理を背景に、生ビールが注がれたビールジョッキを持って3人で乾杯する手元を映した写真

馬渕先生:尿酸は作られた分、尿などから排泄されることで均衡を保っているので、しっかりお水を飲んで尿を出せば排出されていきます。でも、飲み会の席では水を飲む人が少ないですよね。

まりも:たしかに。一杯目を最高の状態で飲むために、あえて喉がカラカラな状態で飲み会に参加することもあります……!

馬渕先生:あーっ、それは絶対NG! 痛風リスクを高める危険行為です! 水分が失われた状態だと血液が凝縮されているので、尿酸は結晶化しやすくなってしまいます。その状態でプリン体を摂取するのは危ない。

まりも:ひえええ! 今後は水分補給を心がけるようにします……

水が注がれたグラスが置かれた写真

馬渕先生:また、ビールは利尿作用があるのでたくさん水分が排出されてしまいます。例えばアルコール度数5%の大瓶633mlを飲むと、380~634mlの水分が出ていく計算になります。

まりも:ええっ、下手したら飲んでいる量以上の水分が出て行ってしまう……! 尿酸が結晶化しやすいので、痛風にもなりやすいということか……!

馬渕先生:そうです! だから、飲み会の最中は思っている以上にたくさんお水を飲んだ方が良いのです。

ビールはお酒の中でも特に利尿作用があり、脱水になりやすい反面、尿も出やすくなるので、水分摂取もしっかりしながら尿酸排泄に上手く活用するのもコツですよ。

この記事のまとめ

  • プリン体はDNAやRNAなど細胞の核を構成する成分であり、大切な栄養成分
  • 体内で使わないプリン体は分解されて尿酸として体外に排出されるが、尿酸が多くなりすぎると血液の中に尿酸がたまってしまい、痛風の原因となる
  • 実はビールのプリン体含有率は、比較的低い
  • 「ビール=痛風」と言われる理由は、プリン体の含有量そのものではなく、「飲み方」にある
  • 飲み会では水を飲まずにビールを飲む人が多い。ビールは利尿作用があり体内の水分が失われてしまうため、血液が凝縮され尿酸は結晶化しやすくなる。つまり痛風になりやすくなってしまう
  • ビールのプリン体の含有量は他の食品に比べて低いため、しっかり水分補給をすれば痛風を予防できる! 逆に、プリン体が少ないからといって水分補給を怠ると痛風リスクは高まるので要注意!


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