ビールの色はどのように決まる?色の種類についても解説!
黄金色のビールから黒ビールまで、色合いは様々。最近では白ビールもコンビニで見かけるようになりましたね。
今回は「ビールの色」に注目して、よなよなエールのメーカーである、ヤッホーブルーイングのブルワーが解説します。
- もくじ
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▪ ビールの色の違いは、麦芽の色で変わる
▪ 麦芽の種類と色の違い
▪ ビールには何種類の色がある?
▪ 黒ビールとか白ビールってなに?
▪ 麦芽の色をつける以外の役割
ビールの色の違いは、麦芽の色で変わる
ビールには「麦芽(モルト)」「ホップ」「酵母」「水」の4つの原材料が使用されています。その中でもビールの色に大きく作用するのが「麦芽(モルト)」です。
麦芽(モルト)は淡色から濃色まで様々な色合いが存在します。どの種類の麦芽をどのくらい使用するかでビールの色が変わるのです。
麦芽の種類と色の違い
様々な色合いのある「麦芽(モルト)」ですが、ヤッホーブルーイングのビールで使用する代表的な3つのモルトにペールモルト・キャラメルモルト・チョコレートモルトがあります。
実はモルトは最初から色がついている訳ではありません。モルトの色の違いは麦芽を乾燥させる時の熱の加え方で変わります。高温で熱を加えるにつれて、モルトが濃色に変化するのです。
これらのモルトの種類と使用量を調整する事で、ビールの色合いを調整しているのです。
ちなみにヤッホーブルーイングのフラッグシップである「よなよなエール」の場合、ベースになるモルトにカラメルモルトを入れて、数種類のモルトで黄金色に調整しています。
麦芽の作り方を詳しく知りたいかたは、こちらの記事で。
麦芽とは?ビールメーカーが解説する「麦芽(モルト、 malt)の基礎知識」
ビールには何種類の色がある?
次にビールの色合いについて解説していきます。
現在ビールには150種類以上のビアスタイル(ビールの種類)が存在しており、そのすべてに規定の色合いがあるのです。その規定の色合いに達しているかどうかを判断する際に、使用される代表的な「色の指標」が2つ存在します。それが、「SRM」と「EBC」です。
・SRM(Standard Reference Method)
米国醸造化学者学会が採用したものであり、アメリカを中心に使われている。
・EBC (European Brewery Convention)
ヨーロッパ醸造協議会による規格であり、ヨーロッパを中心に使われている。
SRM・EBCともに色が濃いほど数値が大きくなります。(以下画像を参照)
黒ビール、白ビールってなに?
色が特徴的なビールとして、黒ビールや白ビールを想像した人も多いのではないでしょうか?
最近スーパーやコンビニでもよく見かける黒ビールや白ビールですが、これらはビアスタイル(ビールの種類)の名称ではなく、液色を大きく分類したときの総称です。
前述した通りビールの色はビアスタイルごとにSRMやEBCなどで基準が設けられているので、厳密には「黒ビール」や「白ビール」という分け方は出来ません。
一般的にはポーターやスタウトなどの液色が黒っぽいビールを「黒ビール」、ベルジャンホワイトなど小麦をつかった液体が白っぽいビールを「白ビール」と呼ぶことが多いです。
黒ビールと総称されるビアスタイルについて詳しく知りたい方はコチラ
https://yonasato.com/column/guide/detail/beerstyle_blackbeer/
白ビールと総称されるビアスタイルについて詳しく知りたい方はコチラ
https://yonasato.com/column/guide/detail/shirobeertoha/
麦芽の色をつける以外の役割
今回は「麦芽(モルト)とビールの色」に注目して説明をしましたが、麦芽(モルト)はビールのコクにも大きく影響します。
コクとは、「味の濃さ」「深さ」「豊かさ」のこと。コクは、モルトに含まれるエキス(糖分・アミノ酸)やホップ、アルコールの量できまります。
ビールの製造工程の「発酵」過程では、モルトに含まれるデンプンを糖分に変え、その糖分を酵母の作用で発酵させることで、アルコールと炭酸ガスをつくります。この過程で全てがアルコールに変わるわけではなく、一部はデンプンや糖分のまま残り、それがコクとして感じられます。
そのため、発酵をどこまで進めるかによってもコクの程度が変わってくるんです。
【まとめ】ビールの色はどのように決まる?
まとめ
▪ビールには150種類以上のビアスタイルがあり、そのスタイルごとに色の基準が決まっている。
▪ビアスタイルの色味はSRMやEBCという指標が使用されている
▪ビールの色味は、原料のモルトの色味によって変わる
▪焙燥時の温度でモルトの色味の濃淡が変わる
みなさんもビールの色に注目して、ビールごとの違いを楽しんでみてください!
おわり