
元旦当日でも間に合う!料理家・今井真実さんが教える、クラフトビールに合う特製おせち3種
気がつくと今年も残り数日。
皆様、もうおせちの準備はできていますか?
好きなお店に頼んだり、カタログをじっくり読んだり。そして自分で作りますよという方も。お正月料理は、地方であったり、そのおうちの伝統によって、習わしが違うものなので面白いですよね。
私はおせちが大好き! クリスマスが終わるやいなや、いそいそとおせちの材料の準備を始めます。
今回、ご紹介するレシピは、おせちを全て作るのは大変でも、これだけならばと気軽に作れる「祝い肴3種」です。
「祝い肴3種」とは、お正月をお迎えするにあたって、欠かせない縁起の良い3品のこと。地方でも内容が変わり、かずのこ、黒豆、ごぼうや田作りが入っていることが多いです。
3品だけで完結する、華やかなおせち料理であり、初めてお正月料理に挑戦する方にもぴったり。
そして、これ、中々良いおつまみに見えますよね。その通り! 実は、普段のお酒のお供にもぴったりなメニューなんです。
おせち料理には使う材料にも様々な意味合いがあり、自分で作れる「縁起の良いもの」です。そして重要なのはやっぱり美味しいことですよね。
いつもよりちょっとリラックスした雰囲気の、ゆっくりビールと楽しめる「祝い肴3種」ができました。
このおせちにどんなビールが合うか、選んでいくのも楽しみの一つ。
ヤッホーブルーイングさんのビールの中から、お料理の味わいとの相性を考えてみました。
紅白なます
しゃきしゃき甘酸っぱい紅白なますは、紅白の水引を人参と大根であらわしたものでおめでたい象徴です。一家の平和を願う縁起物とされています。
飾りに見えるいくらや柚子釜も、複雑な旨味を作ってくれます。
さっぱりとしたなますは「水曜日のネコ」のような、フルーティなビールにぴったり。
コリアンダーとオレンジピールの香りが、柚子の柑橘の香りとよく合い重なりが出ます。ほのかなハーブ感が、なますを違った味わいに変えてくれますよ。
(材料)
大根 … 500g
金時人参(普通の人参でも可) … 1/3本(約50g)人参は大根の1割ほど
柚子 … 1個
いくら … 小さじ1
塩(下ごしらえ用) … 大さじ1/2
酢 … 大さじ4(60ml)
砂糖 … 25g(約大さじ2)
塩 … 小さじ1/3
(作り方)
大根、人参を長さ5cmほどに切り、千切りにします。大根を若干太め、人参は極細い千切りにします。
面倒であれば、ピーラーやスライサーなどを使ってもらっても良いですし、後で絞ってしまうので、細さは気にせずで大丈夫ですよ。
別々のボウルに、大根に塩大さじ1/2、人参には塩少々ふり10分ほど置いて、ぎゅっと水気を絞ります。
酢と砂糖を合わせて、大根と人参を入れます。
10分ほど置いて味見しましょう。物足りなかったら、ちょっとお塩を足しても。
盛り付けて出来上がりです。
柚子に盛り付けると綺麗です。上部を切り落とし、白い皮の部分にぐるりと包丁で切れ目を入れ、小さじを使い果肉を引っ張り出します。
お酢の代わりに柚子果汁を使っても。同じ分量で大丈夫です。
冷蔵で1週間保存可能、汁ごと冷凍する場合は1ヶ月保存可能→自然解凍で。
あまり好きでない方は、半量からだと食べきりサイズ。
後でご紹介する「海老の艶煮」とバインミー風にしても美味しいです!
蓮根と田作りの素揚げ
カリカリの蓮根チップスと、ほろ苦い田作りの素揚げはビールのおつまみにぴったり。
蓮根にはたくさん穴があり、向こう側が見通せることから「将来の見通しが良い」と言われ、種が多いので「子孫繁栄」ともされています。
田作りは、干した片口いわしは昔、田んぼの肥料にもしたことから、豊作の願いが込められています。
こちらには「インドの青鬼」を合わせてみます。
わあ! これは苦い…! 田作りのほろ苦さと青鬼の苦味が鮮烈です。ビールって苦いのに、なんで皆好きなんだろうと思った若い頃を思い出します。ビール好きならグッとくる組み合わせ。口の中の苦味を蓮根のチップスが中和させてくれ、ハマってしまいます。
(材料)
蓮根 … 120g
田作り(ごまめ) … 10g
塩 … 適量
サラダ油 … 適量
(作り方)
蓮根を皮付きのまま洗います。皮の表面をキッチンペーパーで拭きます(穴の水気は払ってください)。水に晒す必要はありません。
フライパンに直接、スライサーで蓮根の薄切りを入れます。
最初は残っている水分を飛ばすために1分ほど弱火で熱します。
それから画像程度、深さ5mmくらいに油を入れて、弱目の中火にします。
時々、裏返しながらきつね色になるまで揚げます。色づきはじめたらあっという間に焦げやすくなるので注意しましょう。
揚がった蓮根から上げ、ホイホイとバットに移していきましょう。
くっついていても、冷めると剥がしやすくなるのでひとまず焦げる前に引き上げてください。
蓮根を全て揚げたら、田作りを入れ、しっぽと頭がうっすらと色づくまで揚げます(30秒程度)。
頭と尻尾がこんがりしたらOKです。
揚げバットに上げたら、塩を全面にざっとふり完成です。
海老の艶煮
海老を丁寧に下処理して、生姜と山椒を効かせたら、ふんわりとした海老の甘味が引き立ちます。甘くない粋な味。
海老は腰が曲がるまで長生きできるようにという「長寿」の願いが込められています。また、鮮やかな赤い色は「魔除け」の意味合いも。
この海老の艶煮には「よなよなエール」を合わせてみます。
ふんわりとした山椒の風味と、よなよなエールの香りがマッチします。海老の甘みを引き立てて余韻も素晴らしいです。いかにもお正月に合う華やかさです。
(材料)
有頭海老 … 2~3匹(今回は赤海老を使用)
酒 … 大さじ1
醤油 … 大さじ1
塩 … 小さじ1
水 … 300ml
生姜スライス … 2枚
山椒 … 適量
(作り方)
まず海老の下処理をしましょう。
ひげとしっぽをハサミで整えます。切らないと食べると時にもチクチクしますし、見栄えが変わってくるので一手間かけましょう。
お腹の足を切り、お塩をお腹にもたっぷりふり、もみ洗いしてよく流します。
(活け車海老の時は洗って背わたをとるだけで大丈夫です。跳ねるのでご注意ください)
海老を折り曲げ手で固定して、殻の間から爪楊枝で背中に突き刺し、引くようにして、背わたを取ります。
背わたを取らないと、じゃりじゃりした食感になるので必ず行ってください。
足の間も汚れている場合があるのでよく洗いましょう。
そのあと、ダメ押しで、片栗粉で更にもみ洗います。ボウルに水を張り、水を変えながら綺麗になるまで洗い流しましょう。
鍋か小さめのフライパンに、調味料と水、生姜スライスを入れ、沸騰したら海老を入れます(活け車海老の場合は跳ねるので蓋をすると良いです)。
大きい海老なら3分ほど、小さいものは2分程度、弱火で優しく加熱。味が回るよう、2回ほど裏返します。何度も行うと、頭が取れるので注意。
火を止めて、そのまま冷ましましょう。赤いアクはそのままでも良いし、気になるようであれば取り除きます。
盛り付けたら、山椒を殻の上からふり、ほんのり香りをつけます。
あっという間にできるこの3品なら、元日当日でも間に合います。
色合いも美しく、いかにもお正月らしいお料理はこの日だけの楽しみです。おめでたい日にはクラフトビールをゆったりと味わいながら、手作りのおせちで特別な時間を過ごしませんか。
来年も、皆様にたくさん幸せが訪れますように。
新しい1年の始まり。明るい未来に願いを込めて、乾杯しましょう。
(おわり)
撮影:今井裕治
この記事を書いた人:今井真実(料理家)
「これだけで、こんなに美味しい!」と小さな喜びを感じられ、作った人が楽しく嬉しくなる新しい家庭料理を提案。キャンプで燻製をしたり塊肉を焼くのが一番のストレス解消法。料理教室を10年以上開催してきたが、現在はオンラインを中心にレッスンを行っている。神戸市生まれ。 Twitter 、 note