「恥ずかしいって、すごく良いこと」ZAZYに訊く、恥で測る“自分らしさ”。

「恥ずかしいって、すごく良いこと」ZAZYに訊く、恥で測る“自分らしさ”。

「よなよなエール」のヤッホーブルーイングが企画し、2021年8月4日(水)から始まった、“地球では言えない”恥エピソードから個性を再発見するオンライン参加型企画「BAR恥さらし」


恥ずかしいと思うのは、人と違う「自分らしさ」が出てきた結果。恥はその人の「味」、つまりユニークな自分らしさなのではないか……。そんな気持ちで作った「BAR恥さらし」の“常連客”であるZAZYさんに、恥についてのお話を聞きました。

ZAZY
ピン芸人。吉本興業所属。2011年デビュー以降、ピンクに金髪ロン毛という奇抜な見た目と、それとは関わりのない独自の世界観を持つオリジナルイラストのフリップネタで、2017年「第47回 NHK上方漫才コンテスト」決勝進出。2021年「R-1グランプリ2021」準優勝。テレビやYouTube、劇場で幅広く活躍する。

奇抜なファッションと独特のフリップ芸で人気を集める、ピン芸人・ZAZYさん。今年の「R-1グランプリ」準優勝以降は、街で目立ってしまうことも多いようですが、そこに「恥ずかしさ」はないと言います。子どもの頃のお話、R-1決勝のミスのお話……過去を振り返り語っていくる中で「恥ずかしいって、すごく良いことだ」という考えに至ったZAZYさん。

ZAZYさんの考える「恥ずかしい」って何でしょうか?

「恥ずかしい」って何でしたっけ?(笑)

 

—— 今年の「R-1グランプリ」以降はさらに露出も増えて、街中で人目が気になることも多いと思います。そこに照れや恥ずかしい気持ちはありますか?

 

 人の目は……さすがに慣れましたね。「ZAZYや」って言われることもありますけど、もう人の視線を感じなくなってしまってて。あと、ZAZYじゃなくても、金髪ロン毛でこんな派手な服装の男性が基本的にあんまり居てないのでね(笑)。だから、街中で人の視線はかなり奪ってるはずなんですけど、8年も経てばそれも普通のことになってしまって。人と一緒に歩いてると「ZAZY、めっちゃ見られてるやん」って言われるんですけど、「ああ、そうなんか」ぐらいの感じなんです。

 

 

——なるほど、日常なんですね(笑)。考えてみたんですが、ZAZYさんは、世間でいわゆる「恥ずかしがり屋」「照れ屋」と呼ばれるような人ができないことを、おひとりで全て取り入れてらっしゃる気がするんです。

 

 ははははは(笑)たしかに。照れ屋にはできませんもんね、こんな足出して。

 

——美脚の露出然り、奇抜な衣装、奇抜なネタの披露、さらにお歌まで歌われて。おおよそ、「恥ずかしがり屋」がいちばん恥ずかしがるようなことを寄せ集めると、ZAZYさんになるような。

 

 ほんまですね。ぼくは「人の恥の集合体」ですね(笑)。

 

——いやいや(笑)。それがなぜかカッコよく見えてしまうのが、ZAZYさんの魅力だと思うんですが、小さい頃から目立つことは平気でしたか?

 

 ああ、そうですね。小学校のときも1年生から6年生まで、通信簿のコメント欄にはいつも「ユニークなお子さんで」「個性が強くて」って書かれてたんですよ。そこが良いって言われてたような気もしますし、ぼく自身も「人と違うこと」が自分の価値やと思ってるところが小さい頃からあった気がするんですよね。

 

——強い。ではむしろ、人と一緒だったりすることの方が恥ずかしい、みたいな気持ちってありますか?

 

 そう、それは恥ずかしいんですよ。ベタな話だと、お店で試着して「これ皆さん買われるんですよ」って言われたら、やっぱり買えないですし。自分が「いいなあ」って思ってた曲が、チャートインしちゃうのとかも嫌だし、なんか恥ずかしいんです。「この感覚って“大衆”やったんかい」って思います(笑)。

 

 常に人がやってないことをやってたいんでしょうね。だから、振り返ってみても「照れてできへんかった」「恥ずかしかったな」みたいな記憶ってほんまにないんですよね。

 

2時間落ち込んだあとは、「恥ずかしい」さえ武器に変える。

 

——たとえば、劇場やテレビでの反省や失敗で恥ずかしい思いをしたこととか。

 

 こういうネタをやってるんで、思った通りにウケないときももちろんあるんですけど、こういうネタやからこそ「もう、しゃあないな」って早めに切り替えられる強さはあるかもしれないですね。

 

—— 印象に残っているのが、今年の「R-1グランプリ」直後の動きです。決勝でフリップに想定外の「クリップ」が付いてしまっていて、上手くめくることができませんでした。しかしその翌日には、そのクリップをネタにしたTシャツを制作されていましたよね。

 

 ああ、Tシャツ出しましたね。あれ、ちょっと待ってください……たしかにあれは恥ずかしい事件でした(笑)。

 

—— あれは、やっぱりZAZYさんでも……。

 

 いや、あれはさすがに恥ずかしかったですね(笑)。クリップ付いてたミスはしゃあないとして、あそこで「あっ」とかじゃなく、なんかもっと芸人として言えたんちゃうかな、っていう恥ずかしさがめちゃくちゃありましたね。

 

—— それでも、短時間で切り替えて逆手にとっておもしろくしてしまうというのが、またZAZYさんの魅力で、ファンとしては大いに笑わせていただきましたし、胸が震えました。

 

 へえー? いや、ありがとうございます(笑)。あれに関しては、さすがにぼくも2時間ぐらいはちゃんとしっかりと落ち込んだんですよね。でもまあ凹んだ後は、それをどう次に使おうか、ということしかないんで。プラスにする方法を探すしかないですもんね。

それでも唯一、恥ずかしいこと。

 

——恥ずかしいままでは終わらせない、というところにZAZYさんらしさを感じますね。恥ずかしいまま終わったものが、ひとつも無いというところにも。

 

 ほんまに、他に無いか……。(しばらく考え込む)あ、人前でイチャイチャはできないんでした。それは、唯一恥ずかしいことかもしれないです(笑)。

 

——ははははは(笑)。意外なところに弱点が。それはなぜでしょう?

 

 理由か。なんでなんでしょうね。人の視線を感じない、目立つことも恥ずかしくない、というぼくの理論に反してますね。

 

——たしかに。なにか特別な理由があるのかもしれませんね。

 

 あ、「自分がやりたいこと」じゃないからじゃないですかね。ぼく自身は別に外でイチャイチャしたいわけじゃないので、それは相手の希望で、ちょっと無理してやってるから恥ずかしい、ということかもしれません。無理して何かをやることについては「恥ずかしい」って気持ちがあるんかもしれないです。他にもあるのかな。

 

——たとえば「これ言ってください」だとか、「このボケをお願いします」みたいなお仕事はいかがでしょう……?

 

 うわ、「このボケ言ってください」はめちゃくちゃ恥ずかしいかもしれないですね(笑)。ああ、たしかに、そういうことはぼくは恥ずかしいし、いちばんやりたくないことかもしれない。その内容が、多少おもしろいとなれば若干ハードルは下がるかもしれないですけど、おもしろいと思えなければ、恥ずかしすぎるんで断っちゃうんじゃないかな。それがたとえ、テレビの偉い方でも、先輩であったとしても。そこを譲るのは違いますもんね。

 

「恥ずかしい」は良いことだから

 

——「恥ずかしいこと」も「恥ずかしくないこと」も、全てどれだけ自分らしいかというところにZAZYさんの判断基準があって、とっても一貫してますね。

 

 そうみたいですね。だから「恥ずかしい」ってすごい良いことなんじゃないですか?

 

—— 「恥ずかしい」は良いこと。

 

 はい。だって「恥ずかしい」って、大概は「人との違い」とかそういうことだと思うんですよ。たとえば歌が下手だとしても、スポーツが苦手だとしても、服がダサいにしても、派手すぎて視線を集めてしまうにしても(笑)。でもそういうところって、たとえマイナス要素やとしても、つまりユニークで、個性ってことですから。「恥ずかしい」って部分は自分にしかない「持ちもの」ですもんね。

 

——それは、まさにそうですね。

 

 ぼくみたいに、着続けたり、髪を染め続けたり、下手でも歌い続けたら、それも払拭できますし(笑)。「恥ずかしい」って落ち込むぐらいの大きいミスは、大きいプラスにも変えれますし、「人と違う」ではなくて「自分と違う」と思うような恥ずかしいことは回避すればいいですもんね。

 

——ZAZYさんが、これまでされてきたことですね。

 

 なんでもそつなくこなせるテンプレートみたいな人間ばっかりやと、やっぱりおもしろくないですよ。下手やからおもしろい、ってこともたくさんあるし。せっかく自分が持ってるもんやし、自分は自分しかいないねんから。

 

—— ちょっとすごく、打たれる言葉が多いです。本当ですね…… 勇気づけられる方もすごく多いんじゃないでしょうか(笑)。

 

 ほんまですか。なんか最後、笑いがこぼれてましたけど、大丈夫ですか(笑)。

 

——いえ、ちょっと思いがけず、納得と感激のとても多い時間になりました。

 

 はははは(笑)。いや、ほんまに個性は正義なんでね。「恥ずかしい」も良いこととして捉えていくのがいちばんだと思いますよ。

 

写真:飯本貴子、取材・執筆:中前結花、編集:ツドイ

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