「よなよなエール」ってなに? 名前とパッケージに込めた夢
みなさん、こんばんは。
今回は、みなさんからよくご質問をいただく「よなよなエール」の名前とパッケージの秘密をご紹介いたします。よなよなエールが冷蔵庫にある方は、ぜひ手にとりながら読んでいただけると嬉しいです。
アメリカのパブでの衝撃の出会い
よなよなエールが生まれるきっかけになったのは、ある一杯のビールでした。
アメリカ滞在中の創業者が、たまたま訪れたパブで飲んだビール。アメリカではありふれた味わいのビールでしたが、日本のビールしか飲んだことがなかった彼は衝撃を受けました。琥珀色の液体に、ホップの華やかな香り、そしてモルトの深いコク。生まれて初めての味わいでした。
「……こんな味わいのビールが世の中にあったなんて!」
今飲んでいる個性的な「香り」と「味わい」のビールを日本にも広めたい。この想いがよなよなエールを生み出したのです。
「のどごし」の日本に「香りと味わい」を
みなさんは、ビールにたくさんの種類があることをご存じでしょうか?
世界中に100種類以上のビールがあると言われていますが、「ラガービール」と「エールビール」の2種類に大きく分けられます。日本の大手ビールメーカーがつくっているビールは、ほぼすべてが「ラガービール」の中の「ピルスナー」に分類されます。世界には数えきれないくらい多くの味わい、香りのビールがあるのに、日本人はそのほとんどを知らないのです。
衝撃を受けた創業者は、熱い想いをそのままに帰国。さっそくビールづくりを開始します。
当時、クラフトビールブームが始まったばかりのアメリカで話題の「カスケード」というとても香りの良いホップを取り寄せ、アメリカで広く愛されている「アメリカンペールエール」というスタイルのビールを試作しました。試行錯誤の末、クラフトビールの王道とも言える、美しい琥珀色、柑橘のような爽やかな香り、モルトの甘みを兼ね備えたビールをつくり上げることに成功します。
ビールはできた。名前とパッケージをどうするか?
今までの日本のビール市場にはなかった香りと味わいのビールを、日本のビール好きに広く届けるにはどうすればいいのか。「ネーミング」と「パッケージ」の激しい議論が始まりました。
100人に1人がファンになってくれたらそれでいい
ほぼ100%がラガービールで占められている日本のビール市場の中で、生まれたばかりの小さな醸造所がつくる、特徴的な味わいのエールビールを買ってもらうのは至難の業です。よくわからない上に少し高いビールと「いつものビール」が並んでいたら、ほとんどの人が「いつものビール」を買っていくことでしょう。
大手のビールメーカーを真似て製品名やパッケージを考えても、他の製品の山に埋もれてしまいます。しかし、少し気になる名前とパッケージだったらどうでしょうか。「1本くらいなら買ってみるか」と思ってくれるかもしれない。一度飲んでくれたら、このビールの魅力に気づいてくれるはずです。100人に1人の確率でこのビールのファンになってくれる人がいたら、それだけで世に出す意味があると考えました。
毎晩エールビールが飲まれるような日本にしたい
まずは「ネーミング」を考え始めました。最初はエールビールで1番になりたい、ということで「エールナンバーワン」や英語の名前を考えていたのですが、どうもインパクトに欠けます。これでは心に残りません。日本で生まれたビールだから、英語ではなく日本語の名前にしたいという想いはありましたが、なかなか良い案が浮かびませんでした。行き詰った私たちは議論から少し離れて、新しいビールでつくりたい未来とはどんな場所なんだろう?と想像してみることにしました。
エールビールが広まった日本ってどんな感じだろう?日本のみなさんにも、いろんな種類の味わいのビールを飲んで少し幸せな気分になってもらいたいな。わたしたちがつくるエールビールで、毎晩幸せな気持ちになってもらえたら……妄想が止まらなくなった、その時でした。
「”よなよな”って、よくない?」
妄想から降りてきた案にみんな大賛成。毎晩のように、個性豊かなエールビールを楽しんでいただきたい、そんな私たちの気持ちを込めて「よなよなエール」と名付けることにしました。ひとり自分の世界に浸るときも、皆で一緒にいるときも、いつも幸せな気分になれるクラフトビールをお届けすること。そんなわたしたちの夢を名前に託したのです。
今まで見たことない「新しい」デザインを求めて
名前も決まり、ビールの顔になるパッケージを考え始めました。アメリカ発祥のアメリカンペールエールという伝統のあるビアスタイルで、画一的な味わいしかなかった日本のビール市場に飛び込むという革新性を表現するため、「伝統と革新」「和と洋」を織り交ぜたデザインにしたいと考えました。
選んだモチーフは日本の伝統的な「花札」のデザイン。モルトのコクを表す豊穣な麦畑と夜に浮かぶ月を表現しています。何とも言えない形をした月ですが、実は月の形にもメッセージが込められているんです。よなよなエールの月は、満月でも半月でも三日月でもありません。一見「中途半端な月」に見えますが、ごく普通の日常の月を表しています。これは、よなよなエールの名前の由来である「特別な晩だけでなく、毎晩エールビールを楽しんでほしい」という想いが込められた月なのです。
当時、ビールのパッケージには黒を多く使うのはタブーとされていました。黒ビールだと認識される可能性があるからです。しかし、ルールに沿っていては「新しいデザイン」は生まれないと考え、大胆に黒を使ったパッケージデザインに。結果として月が映える素敵なデザインになりました。
みなさんの毎晩の幸せを願って
こうして生まれた「よなよなエール」は2021年7月7日に24周年を迎えます。長野の小さな醸造所で生まれたビールが、今では全国のみなさんに飲んでいただけているなんて。よなよなエールが生まれたばかりの頃のわたしたちが聞いたら、きっと信じてくれないでしょう。
毎晩のように、個性豊かなエールビールを楽しんでいただきたい。
あの時のわたしたちの夢が、現実になっているのですから。すべては、よなよなエールをいつも飲んでくださっているみなさんのおかげです。あらためて、心より感謝を申し上げます。みなさんの晩酌の時間を、少しでも幸せにすることができていたら……わたしたちはとても幸せです。
しかし、日本にはまだまだエールビールの味わいを知らない人がいるはずです。日本中のビールファンにバラエティ豊な味わいを届けるために、わたしたちはこれからも走り続けます。
ちなみに・・・
ここまで読んでくださったみなさんに、よなよなエールの小さな秘密を教えちゃいます。よなよなエールの缶の「バーコード」を見てみてください。実は、「4747(よなよな)」になっているんですよ。それでは、良い夜をお過ごしくださいね。乾杯!