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【インタビュー】高円寺「小杉湯」はビール愛溢れる銭湯でした

【インタビュー】高円寺「小杉湯」はビール愛溢れる銭湯でした

いっくん

人気銭湯「小杉湯」の3代目・平松佑介さんに、クラフトビールと銭湯のことについて聞きました。

(この記事は2020年7月3日に更新されました)

こんにちは。
「銭湯の後のクラフトビールは、いつもの数倍美味い…!」そう信じてやまない、クラフトビールメーカー・ヤッホーブルーイングのスタッフ「いっくん」です。その思いを募らせ、過去に「銭湯×クラフトビール」の記事をアップしたのですが…ありがたいことに、想定していたよりも多くの方に読んでいただけました。

今回はそんな「銭湯×クラフトビール」企画の第二弾!
「ビール愛」が溢れる銭湯さんに、インタビューに行ってきました。

クラフトビール好きな方だけでなく銭湯ファンの方にも楽しんでいただける内容ですので、ぜひ最後までお付き合いください。

ビール愛溢れる銭湯、小杉湯

東京、高円寺にある銭湯「小杉湯」。

昭和8年に創業した老舗でありながら、「交互浴※の聖地」としても知られており、連日多くの人で賑わう、銭湯好きの間では有名な銭湯です。

交互浴…熱い湯舟と冷たい水風呂に交互に入ることによって血行が良くなるほか、自律神経も整うため、ストレス解消や疲労回復にめっちゃ効く入浴法(もっと詳しく知りたい方はコチラ)。

高円寺の老舗銭湯・小杉湯

銭湯好きに語らせると、良いところが次々に出てくる人気の銭湯・小杉湯。
ただ、この小杉湯が「クラフトビール愛」のある銭湯だということを知っている方は、そこまで多くないかもしれません。

小杉湯はこれまでに、

・地元のクラフトブルワリーとのイベント
・ビールの原材料であるモルトやホップを湯に漬け込んだ「ビール湯」
・銭湯×クラフトビールのイベント「オクトーバー銭湯フェスト」

など「クラフトビール」に絡んだ様々なイベントを定期的に開催してきた、まさに「クラフトビール愛」溢れる銭湯なのです!

かくいう私は、銭湯×クラフトビール=最高、と信じて疑わない、よなよなの里随一の銭湯好き。「小杉湯ってどんな思いでクラフトビールのイベントをやってるんだろう?」と気にならないわけがありません。

こりゃあ、お話を聞いてみたい…!ということで今回は、

高円寺・小杉湯の三代目、平松佑介さん

小杉湯の三代目・平松佑介さんに、クラフトビールイベントを開催する思いや、クラフトビールと銭湯のことについて、お話を伺ってきました!

地元ブルワリーとのコラボと「オクトーバー銭湯フェスト」

小杉湯の三代目、平松佑介さんにインタビュー
↑インタビューは小杉湯の中にあるギャラリースペースで行いました。

今日はよろしくお願いします!早速ですが、これまでにどんなことをされてきたのか、教えていただけますか。

最初は「高円寺麦酒工房」さんに、湯上りのビールを販売してもらったのがはじまりです。2016年くらいの話ですね。その後は、高円寺の「アンドビール」さんとコラボした「ビール風呂」をやったり…去年には「オクトーバー銭湯フェスト」というイベントを初開催しました。

すごい、めっちゃ沢山開催してますね!どういうきっかけではじめられたんでしょう。

僕がこの小杉湯を継いだのが2016年くらいなんですが、その時から「今まで以上に、もっと高円寺と繋がっていきたいな」という思いがあって。「高円寺の小杉湯」の取り組みのベースはやっぱり高円寺にあるし、高円寺の人に喜んでもらえる銭湯経営が、僕の目指す銭湯経営なんですよ。

ちょうどそのタイミングで高円寺麦酒工房さんから声をかけてもらって、取り組みがスタートしていきました。

なるほど。やっぱりお風呂上がりのビールって、最高ですもんね。トントン拍子で話が進んでいったわけですね。

そうなんです(笑)販売もまあ、やってきたんですけど、特に良かったのはビール風呂!あれ最高で。

どんな感じなんですか?

ビールづくりに使っている大麦とかホップとか、そういうものを提供してもらって、湯舟に漬けるんですけど…香りが結構出て、すごいんですよ!

小杉湯で実施した「ビール風呂」の様子。モルトとホップの成分が溶け込んでいる。
↑ビール風呂の様子。この時はモルトとホップを湯船に漬けこんでいる。色が濃い!撮影:小杉湯

うわー気になります!入ってみたいな…

銭湯って中での体験がすごく深いんですよ。裸で、スマホのない空間の中だと、モルトの甘い香り・ホップの爽やかな香りがすごい感じられて…

それで、出た後にビールが飲めたら…もう最高ですね…!

はい。ビール風呂の時には実際にブルワリーの方にも来てもらって、ビールの販売もやっていたんですが、すごく人気でしたね。

(ゴクリ…)オクトーバー銭湯フェストっていうのは、どういうイベントなんですか?

ビール風呂みたいな取り組みもしている中、銭湯を盛り上げたい有志が集まった『銭湯再興プロジェクト』のメンバーと一緒に企画して始めたイベントです。全国からクラフトビールを集めて、湯上りに飲めるようにして。

小杉湯で開催された「オクトーバー銭湯フェスト」の様子。
↑昨年秋に開催された「オクトーバー銭湯フェスト」の様子。13種類以上のビールが常設で販売され、湯上りに楽しむことが出来た。期間中にはミュージシャンによるライブなども開催され、多くの人でにぎわったそう。撮影:小杉湯

お客さんの反応はどうだったんでしょうか。

そうですね。良かったことは2つあって…1つはクラフトビール好きのお客様が小杉湯に足を運んでくれて「銭湯とクラフトビールって、最高ですね!」みたいなイメージを持ってくださったことです。

で、もう1つは、普段クラフトビールっていうものを飲まない方…「クラフトビールってそもそも何?」方にも、ちゃんと喜んでいただけたことですね。「全国にこんなブルワリーの方がいらっしゃって、こういう思いで作ってるんです」っていうのをお伝えすると、それで初めて飲んだ方が「美味しいね」と言ってくれて。そのまま2本3本…と期間中に飲んでくださったっていうことがすごくあったんです。そういう新しい出会いが生み出せたっていうのは、良かったなあって思ってますね。

作り手の思いを伝えるきっかけになった小杉湯の「もったいない風呂」

こんな風にクラフトビールのイベントを開催していくようになったきっかけって、何かあるんでしょうか。

元々はその…僕が小杉湯を継いでから薬湯(くすりゆ)というものを始めたところにあるんです。

薬湯?

ゆず湯とか菖蒲湯ってあるじゃないですか。あれって調べてみると、江戸時代くらいからはじまった「薬湯」っていう文化なんです。香りの強い植物で邪気を払うっていう意味で生まれたものらしくて。

今でもポピュラーなのは12月のゆず湯と、5月の菖蒲湯なんですが、薬湯っていうのは実は毎月あるんですよ。

へぇー!知らなかったです!

小杉湯の三代目、平松佑介さんにインタビュー

東京に住んでると、季節をなかなか感じられないなあって、すごく思っていて。

そんな時にその「薬湯」を知って、お風呂を通して季節を感じてもらえたらと思ったんです。旬の果物を入れてみたりして。

最初は駅前の果物屋さんとかに相談してたんですけど、なんかもったいないなと。それで友人に相談してみたら、元々小杉湯の近くに住んでて、小杉湯にも通っていた、今は徳島に移住してみかん農家をやってるっていうご夫婦を紹介してもらって。

すごいご縁だ…!

あおとくる」という屋号でやっているみかん農家さんで、みかんやすだちをやっていて。で、そこの方とお話をすると、やっぱり廃棄のものがどうしても出ちゃうらしいと。じゃあその部分をお風呂に使いましょう、販売できるきれいなものは、店頭で販売しましょう、っていう「もったいない風呂」をはじめたんですね。

もともとは季節を感じられるように、という思いではじめた「もったいない風呂」ですが、あらためて生産者さんの話を聞いて「ああ、こういう思いで、こういうプロセスでみかんやすだちが作られてるんだなあ」って実感したんです。

小杉湯で開催した「あおとくるの湯」の様子。甘夏みかんを湯に漬け込んだ。
↑あおとくるの湯。この時は甘夏みかんを湯船に漬けこんだ。爽やかな香りで浴室が満たされたそう。撮影:小杉湯

季節だけじゃなく、作り手の思いも伝えていく銭湯になったきっかけになったんですね。

そうですそうです!

もったいない風呂がきっかけになって、作り手の思いを知ることと、作り手の思いを伝えていくことっていうのは、意味もあるし、すごく面白いなって思ったんですよ。

クラフトビールに強く興味を持つようになったのも、こういった生産者さんとのつながりがきっかけなんです。

季節を感じてほしいという思いから始まった「もったいない風呂」をきっかけに作り手との交流が生まれて、そこから「クラフトビール」というものにより興味を持たれるようになったんですね。

はい。それから全国各地の作り手のもとに伺ってお話を伺ったり、作っている様子を見学させてもらったりもしているんです。ヤッホーさんの工場にも、小杉湯のメンバーが行かせてもらってたんですよ。

2019年冬、小杉湯のメンバーがヤッホーブルーイングの醸造所に来た時の様子
↑2019年冬、小杉湯のメンバーがヤッホーブルーイングの醸造所に来た時の様子。

働いているスタッフの方が、ちゃんと自分の思いをもってクラフトビールづくりに向き合っている様子が伝わってきて…それ以来ヤッホーさんのビールも、ヤッホーさんのこともすごく好きなんです。

そう言っていただけると嬉しいです…ありがとうございます!

銭湯もクラフトビールも「自分と向き合う時間をつくる」もの

お話を伺っていると、銭湯が好きな方とクラフトビール好きな方って、重なってる部分が大きいのかなあと思うところがありまして…

うんうん。

なんだろう、銭湯にはいわゆるデジタルデトックスのような、「自分に帰る」みたいな側面があって。一方クラフトビールにも「本来の自分らしく楽しむ」とか、そういう側面があると思っているんです。だから、どっちも好きな方っていうのは意外と多いんじゃないかと思って。

それは、すごくあると思いますよ。

銭湯って、究極行かなくても良いわけですよ。みんな家にお風呂があるから、入浴は家で済ませられるわけじゃないですか。

ただ、銭湯に入ることって、なんかちょっと一息つけたり、考え方を整理できたり、体の調子を整えたり…。暮らしがちょっと豊かになることだと思うんです。

小杉湯の三代目、平松佑介さんにインタビュー

多分クラフトビールも同じですよね。

家でビールを飲むっていうのは、別にしなくても良いこと。だけど、それを時間として作ることというのが、家族との時間につながったり、自分自身の考え方を整理する時間につながったり。自分と向き合う時間をつくる、ということでいえば、銭湯とクラフトビールは似ているなって思いますね。

よなよなエールのキャッチコピー「もう一人の自分にであうこの時間」は、よなよなエールを飲むことで、本来の自分に戻る…っていう意味合いなんですが、もう、銭湯にピッタリですね!(笑)

僕もそう思ってますよ!(笑)

銭湯もよなよなエールも、暮らしの中に余白を作ったり、それがあることで豊かさを感じられたりっていう、すごく近しいものだと思うんです。

だからこそ「銭湯のある暮らし」とか「よなよなエールのある暮らし」をヤッホーさんと一緒になって作っていけたら、すごく嬉しいなあって思ってます。

嬉しいです!ぜひ!

銭湯とクラフトビールで暮らしを豊かに

小杉湯の浴室にたたずむよなよなエール

銭湯とクラフトビールの間には、意外な共通点がありました。
それはどちらも、生きていくうえで必ず必要になるものではないけど、それがあることでちょっとだけ幸せになれるものだということ。

私たちよなよなの里のミッション「ビールに味を!人生に幸せを!」に込められた「クラフトビールを通して、たくさんの方にささやかな幸せをお届けしたい」という思いにも通ずる部分があり、ぼくはますます「銭湯とクラフトビールって相性いいなあ~!」と再認識したのでした。

ヤッホーブルーイングの「いっくん」と、高円寺小杉湯の三代目・平松佑介さん

そして、作り手の思いを大切にして、それをお客さんに伝えようと頑張って下さっている、小杉湯さんのこともますます好きになりました!

クラフトビール、そして作り手への愛が溢れる銭湯・小杉湯。

銭湯ファンの方はもちろん、クラフトビールファンの方も、是非一度足を運んでみてくださいね!
それではまた。

(おわり)

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