
バーレイワイン(Barley Wine)ってどんなビール?
バーレイワインって?
バーレイワイン(Barley Wine、バーレーワインとも)は、直訳すると「麦のワイン」という意味。通常のビールの10倍以上もの時間をかけて熟成させる「長期熟成」が特徴のビアスタイルです。
力強いモルト(麦芽)の甘みとボディの強さ、アルコール度数の高さに加えて、熟成を重ねたことによるカラメル・ハチミツ・レーズンの様な香りも感じられます。
バーレイワインの基本情報
発祥国 | イギリス |
発酵方法 | 上面発酵酵母(エール酵母)で発酵 |
アルコール度数 | 8.0%~12.0% |
ビールの色合い | ディープゴールド~ブラウン |
バーレイワインの発祥や歴史
ビールづくりの歴史をさかのぼってみると、バイキングの時代(中世~1000年代)につくられていたビールは濃い麦汁のみを使用していたため、すべてのビールが今日のバーレイワインのような強いお酒だったそう。
ビールづくりが盛んになってきた18世紀の中盤には「オールド」「ストロング」「ストック」……などと表現されたバーレイワインが意図的につくられていた記録があるのですが、バーレイワインというひとつのビアスタイルとして認知され始めたのは20世紀初頭に入ってから。バーレイワインは、意外と最近確立されたビアスタイルなのです。
ブルワー(ビール職人)が手塩にかけて育てるビール
バーレイワインの最も特徴的なポイントは、他のビアスタイルのビールに比べて、つくるのに圧倒的な時間がかかること。一般的なエールビールの熟成期間は約2~3週間程度ですが、バーレイワインの熟成には半年~1年以上かかることも。
私たちも毎年バーレイワインを仕込みますが、熟成には最低でも半年を要します。その間もブルワー(ビール職人)が都度熟成の進み具合をチェックする必要があり、まさに手塩にかけて育て上げる……そんなビールなのです。
もちろん時間をかけた分、出来上がった時の味わいはまた、格別ですよ……!
時間をかけてゆったり楽しみたい
つくるのにとても長い時間がかかるバーレイワイン。飲む際にも時間をかけて楽しみたいものです……。なぜならゆったりと飲んだ方が、バーレイワインの持つ魅力を存分に味わえるから!
熟成を重ねることによって醸成されたカラメルやハチミツ、レーズンのような複雑な香りは、冷たいバーレイワインが徐々にぬるくなっていくにつれて花開くのです。
ワイングラスや、ブランデーグラスのような形のグラスに注いで楽しむのが、一番ベスト!ぜひ特別な日のビールとして、楽しんでみてください。
バーレイワインに合う一品
バーレイワインは、シェリー酒やブランデーのような香り・味わいのものも多いため、おつまみにはナッツやドライフルーツ等、シンプルなものとあわせるのがいいでしょう。
ちょっと意外なペアリングをするなら……スイーツにあわせるのもおすすめです。
モルトのふくよかなコクや甘味も感じられるバーレーワインには、同じく甘味をもつスイーツが意外にもあうのです。食後のデザートと一緒にバーレイワインをちびちび……なんて楽しみ方もオツなものですよ。
ブルワーおすすめのバーレイワイン
ヤッホーブルーイングのブルワー(ビール職人)がおすすめする「バーレイワイン」は次の2本!
ハレの日仙人(ヤッホーブルーイング)
まずは、私たちヤッホーブルーイングの「 ハレの日仙人 」。
長期間にわたり熟成させることで、レーズンのような甘い果実香や深いコクが感じられながらも、まろやかな味わいに仕上げています。ワインやブランデーを思わせる豊潤な味わいはお祝い(=ハレの日)の席にぴったり。
1年に1回しか仕込まないビールなので、タンクにある分がなくなってしまったら、翌年に仕込むビールの熟成が終わるまでは飲むことができない……特別なビールです。
Old Numbskull(AleSmith Brewing Co.)

「ビール界のロールスロイス」という名を欲しいままにしている、アメリカのクラフトビール天国サンディエゴを代表するAleSmith Brewing。彼らのビールは厳しい職人の手仕事と厳格な品質保証の上に成り立つ、とても完成度の高い美しいビールばかり。
その中でも、雷のような衝撃を与えてくれるのがこの「Old Numbskull」。11%の高アルコールなのに、口当たりはどこまでもなめらか。美しささえ感じる熟成香としっかりとしたモルトのハーモニーはまさに芸術的……。冬にこそ味わってほしいバーレイワインです。
他のビールも知りたい方は
初心者におすすめなクラフトビールの記事やビアスタイルごとに詳しく解説している記事がまとまっているページもありますので、ぜひそちらもご覧ください。
この記事で、バーレイワインの魅力が少しでも伝わったら嬉しいです。それではまた!
(おわり)
