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忙しい時こそ作りたい #没頭めし 脂身ジュワッと「ポークビンダルー」エリックサウス総料理長・稲田俊輔さん考案

忙しい時こそ作りたい #没頭めし 脂身ジュワッと「ポークビンダルー」エリックサウス総料理長・稲田俊輔さん考案

忙しい時、疲れている時。めんどうなことはいったん“ミュート”して、おいしい料理を作っていい酒飲むぞ!という時に最適なレシピを料理家の方とともにお届けする 「没頭めし」シリーズがスタート! 簡単に、なるべく時短で作れるものをご紹介します。(よなよな編集部)

料理人の稲田俊輔です。

「エリックサウス」という南インド料理店の総料理長をやっています。

お酒が好きで、だいたい何でも飲むのですが、中でもビールが特に大好きです。ビールとひと言でいっても、そこには実に様々なタイプのものがありますが、ゆったりとした気持ちでじっくり味わいたい時は、エールタイプのものをよく選びます。

「インドの青鬼」は、そんなエールタイプのビールの中でも特に味わいのしっかりとしたIPA(インディアペールエール)と呼ばれるジャンルの中のひとつ。

アルコール度数も高めで凝縮感のある味わいがIPAの特徴ですが、「インドの青鬼」は、単にそれだけではありません。しっかりした飲みごたえの中に、エレガントで綺麗な香りと、爽快な苦味。それはしっかり目の料理に合わせる食中酒として、理想的な味わいでもあります。

今回は、そんな「インドの青鬼」にぴったりの、スパイシーなインド料理をご紹介します。

インド料理と言えばカレー。もちろん素直にカレー&ライスでもいいのですが、せっかくなら個性的なIPAの味わいをじっくりと楽しめるペアリングとして、もっと「肉料理」寄りのカレーをご提案します。インド南西部の港町ゴアの名物料理、「ポークビンダルー」です。

ポークビンダルーは、豚肉をたっぷりのスパイスやニンニク、ビネガーと合わせて煮込んだ、パワフルかつ甘酸っぱく爽やかな味わいが特徴。その濃密な味わいを「インドの青鬼」がしっかりと受け止めてくれ、なおかつスパイスとの相乗効果で、その香りが華やかに立ち昇ります。最高のペアリングだと思います。

ポークビンダルーのレシピには様々なものがありますが、今回は、豚肉を角切りではなく、インドで「パサンダ」と呼ばれる、やや厚めのスライスで作ります。そうすることで、肉を長時間漬け込む必要もなく、煮込み時間も最短で仕上げることができるのです。スパイスさえ揃えたら、後は身近な材料だけで、思いついたらいつでも気軽に作れる「時短レシピ」でもあります。

主役の豚肉は、厚め(7mmくらい)のスライスを使います。「焼き肉用」として売られているものがあったらそれをそのまま、無ければブロック肉をカットしてください。

それをタレ(ビンダルーペースト)で揉み込んで炒めるところまではほぼ「焼き肉」です。それをトマトジュースで軽く煮込めばあっという間に完成。

こんなに短時間で作れるとは思えない深くて刺激的な味わいを、芳醇なインドの青鬼と共に、ぜひ存分にお楽しみください!

ゴア風ポークビンダルー

材料(1人分)

材料
(A)みじん切りニンニク:15g(4片)
(A)おろし生姜:5g(小さじ1)
(A)ブラックペッパーパウダー:2g(小さじ1)
(A)カイエンペッパー:1g(小さじ1/2)※辛いのが苦手なら減らしてもOK
(A)ターメリックパウダー:1g(小さじ1/2)
(A)ガラムマサラ:6g(大さじ1)※S&Bガラムマサラ推奨(辛さや香りがメーカーによって異なる)
(A)酢 30g(大さじ2)
(A)砂糖 9g(大さじ1)
(A)塩 5g(小さじ1)
(A)水 30cc
豚肩ロースブロック:300g
サラダオイル:14g(大さじ1)
薄くスライスした玉ねぎ:60g(大1/4個)
トマトジュース:200cc
シナモンスティック:1本

作り方

1. (A)を混ぜ合わせて「ビンダルーペースト」を作る。

2.豚肩ロースブロックを厚め(7mmくらい)にスライスし、①と合わせる。

3.鍋にサラダオイルを入れて熱し、玉ねぎを炒める。

4.玉ねぎが透き通って柔らかくなったら②の豚肉を漬け汁ごと加え、肉の表面の色が変わるまで炒める。

5.トマトジュース、シナモンスティックを加え、15分程度少し肉の歯応えが残るくらいまで煮込む。(煮詰まりそうになったら適宜水を足す、仕上がりが500gになれば理想的な濃度)


(カレーを煮込んでいる間に作る)ポテトテンパード

ポークビンダルーの付け合わせとして、じゃがいもを使ったシンプルなインド料理もご紹介します。肉料理と言えばポテト、ポテトと言えばビール! それぞれが最高の相性です。

材料(2人分)

じゃがいも(皮を剥いて1.5cm角切り): 200g(中2個)
水:50cc
塩:2g(小さじ1/2弱)
ターメリックパウダー:0.5g(ひとつまみ)
(A)サラダオイル:20g(大さじ1と1/2)
(A)タカノツメ:2本
(A)クミンシード:1g(小さじ1/2)
細かくカットした香菜:大さじ1

作り方

1. じゃがいも・水・塩を耐熱容器に入れ、蓋をして電子レンジで5分程度(じゃがいもに火が通って柔らかくなるまで)加熱する。

2.(A)を火にかけ、チリチリ音がし始めたら①を加えて炒める。

3.じゃがいもの表面が少しカリッとしたら、火を止めて香菜を混ぜる。

肉肉しさ満点のスパイシーなポークビンダルーと、クミンと香菜が香るホクホクポテトを、たっぷり盛り付けます。そして日本人としてはやはり、カレーと一緒にお米も食べたいですよね! なので、付け合わせのひとつとして、ご飯も添えてみました。なんという欲張りプレートでしょう(笑)。

しかしここではいったん「カレー」の概念を取り払って、スプーンではなくナイフとフォークで、むしゃむしゃワイルドに食べてみてください。

もちろんその傍に「インドの青鬼」があれば完璧です。

本場志向の方へ

このポークビンダルーには、材料はそのままで、もうひとつの作り方があります。こちらは、もっとクラシックなインドスタイルです。

豚肉はスライスではなく、角煮のようにゴロッと大きな角切りにします(豚肩ロースブロック300gを6等分程度に切り分ける)。そしてそれを同じように「ビンダルーペースト」と合わせたら、そのまま丸一日、できれば二日間冷蔵庫で漬け込みます。

後の工程は同じですが、煮込みはじっくりと、肉がとろっと柔らかくなるまで1時間くらいかけてください。長時間煮込む際は、水を100ccほど加えて、煮詰まりすぎないように少し気を付けて。

少し時間はかかりますが、本場志向の方はぜひこちらもお試しください!

(おわり)

この記事を書いた人:稲田俊輔(料理人)

料理人、飲食店プロデューサー。鹿児島県生まれ。京都大学卒業後、飲料メーカー勤務を経て円相フードサービスの設立に参加。居酒屋、和食店、洋食、フレンチなどさまざまなジャンルの業態開発に従事する。2011年、東京駅八重洲地下街に南インド料理店「エリックサウス」を開店。現在は全店のメニュー監修やレシピ開発を中心に、業態開発や店舗プロデュースを手掛けている。著書に『人気飲食チェーンの本当のスゴさがわかる本』『飲食店の本当にスゴい人々』(扶桑社新書)『南インド料理店総料理長が教える だいたい15分!本格インドカレー』『だいたい1ステップか2ステップ!なのに本格インドカレー』『ミニマル料理: 最小限の材料で最大のおいしさを手に入れる現代のレシピ85』(柴田書店)『おいしいものでできている』(リトルモア)『キッチンが呼んでいる!』(小学館)など。新刊『食いしん坊のお悩み相談』(リトルモア)が7/5に発売。
Twitter: @inadashunsuke
 

撮影:高澤梨緒

この記事に出てくる商品
インドの青鬼
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