スタウト(Stout)ってどんなビール?
世界中には、なんと100種類以上のビールが存在しています。でも日本国内で広く流通しているビールは、たった1種類。黄色くてのどごしと苦みを楽しむ「ビール」以外にも、個性豊かなビールがたくさんあるのです。ビールの奥深さをもっと楽しんでみませんか?
この記事では「スタウト」というビアスタイルを紹介します。
スタウト(Stout)とは
スタウト(Stout)は、英語で「強い」という意味。いわゆる「黒ビール」の一種で、真っ黒な見た目と、香ばしいナッツやチョコレート、コーヒーのような香りが特徴です。
なお、日本における「スタウト」は「濃色の麦芽を原料の一部に用い、色が濃く、香味の特に強いビール」として、国税庁により定められています。( 参考:国税庁 ビール・発泡酒に関するもの )
スタウトの基本情報
発祥国 | イギリス |
発酵方法 | 上面発酵酵母(エール酵母)で発酵※日本においてはこの限りではない |
アルコール度数 | 3.8%~5%※スタイルによって異なる |
ビールの色合い | ダークカッパー~ブラック |
スタウトの発祥・歴史
「ポーター」というビアスタイルがロンドンで大人気になっていた18世紀、周辺のブルワリーはこぞってポーターをつくりました。しかし、水質の違いなど様々な要因から、製品化になかなかこぎつけませんでした。
そんな中、アイルランドのギネス社がポーターを研究して製品化したのが「スタウト・ポーター」です。「強い」という意味の「スタウト」を冠したポーターはアルコール度数が高く、ローストバーレイ(高温で焙燥した大麦)を多く使用しているため、麦の焦げた風味がより強いのが特徴でした。「スタウト・ポーター」はアイルランドのみならず、ポーターの本場ロンドンでも人気になり、逆輸入されるほどになったのです。( ポーターについてもっと詳しく知りたい方はこちら )
さらに細分化される「スタウト」の世界
単に「スタウト」と呼ぶときは、後味にローストした麦芽の苦味が残る、すっきりとした「ドライスタウト」を指します。でも、これだけじゃ収まらないのがスタウトの世界。ユニークなキャラクターを付与したスタウトが、今こうしている間にも新しく生まれています。
乳糖(ラクトース)を加えて甘味をつけた「ミルクスタウト」、オートミール(オーツ麦を食べやすく加工したもの)を加えて芳醇な味わいとなめらかな口当たりをつけた「オートミール・スタウト」、ハイアルコールで濃厚な味わいの「インペリアルスタウト」、そして木樽熟成させた「バレルエイジドインペリアルスタウト」……。
基本は同じスタウトでも、飲み比べてみると違いは歴然。
スタウトの世界は本当に奥深いのです。あなたも一度、沼にハマッてみませんか?
スタウトに合う一品
英国では昔から、牡蠣とスタウトは最高の組み合わせ、として知られていました。牡蠣はロンドンで手に入りやすかったらしく、労働者向けの安価なおつまみとして最適だったとか。
牡蠣の磯の香りと、スタウトの焦がした麦芽の香ばしさは、相性抜群。
「焼き牡蠣」や「牡蠣の燻製オイル漬け」などとご一緒にどうぞ 。
ブルワーおすすめのスタウト
ヤッホーブルーイングのブルワー(醸造家)がおすすめするスタウトは次の2本!
GUINNESS EXTRA STOUT
1つ目のオススメは、ギネス社の「GUINNESS EXTRA STOUT」。
伝統のスタウトといえば、この1本。
黒ビールといえばギネスを連想してしまうほどの地位を確立しているギネス社。その黒い色からは想像できないほどの後味のスッキリさとシャープな苦みを感じることができるでしょう。ポーターと比較すると、甘みが少ないため、2杯、3杯と飲んでも飲み疲れません。グラスに注ぐと立ち上る泡も見どころですよね。
Old Rasputin Russian Imperial Stout
2つ目のオススメは、North Coast Brewing Co.の「Old Rasputin Russian Imperial Stout」。
インペリアルスタウトの中でも、特におすすめしたい1本です。
漆黒の液体に鼻を近づけた瞬間に、エスプレッソのような痛烈なロースト香が炸裂します。「あれ?コーヒーなんて入っていないよね?」と、頭が混乱するほど。
香りを十分に堪能したら、ゆっくりと口に含んでみてください。ダークチョコレートを舌でころがしているような、トロリとした甘みと苦みが広がり、レーズンやバニラを思わせる複雑な香りが鼻に抜けていきます。やや荒々しさを感じながらも、絶妙なバランスで保たれていて、まるで目くるめくロシアの夜のような1本です。
ゆっくり、じっくり、時間をかけながら堪能するのがピッタリな「スタウト」。
おうち時間を過ごす相棒として、ぜひいろんなスタウトを飲み比べてみてくださいね。
(おわり)
他のビールも知りたい方は
初心者におすすめなクラフトビールの記事やビアスタイルごとに詳しく解説している記事がまとまっているページもありますので、ぜひそちらもご覧ください。