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「恥ずかしい」は無用。コットンが往く芸の道

「恥ずかしい」は無用。コットンが往く芸の道

「よなよなエール」のヤッホーブルーイングが企画し、2021年8月4日(水)から始まった、“地球では言えない”恥エピソードから個性を再発見するオンライン参加型企画「BAR恥さらし」


恥ずかしいと思うのは、人と違う「自分らしさ」が出てきた結果。恥はその人の「味」、つまりユニークな自分らしさなのではないか……。そんな気持ちで作った「BAR恥さらし」の“常連客”であるお笑いコンビ・コットンさんに、恥についてのお話を聞きました。

コットン
ボケ担当のきょん(写真右)、ツッコミ担当の西村真二(写真左)からなるお笑いコンビ。吉本興業所属。2012年に「ラフレクラン」を結成。2021年4月にコットンへ改名。2019年NHK新人お笑い大賞優勝、2021年ABCお笑いグランプリ決勝進出など、数々の賞レースで成績を残す。メディアで活躍するほか、東京・ヨシモト∞ホールの看板メンバーとして多くの舞台に立つ。

  ボケ担当のきょんさんと、ツッコミ担当の西村真二さんからなるお笑いコンビ、コットン。漫才とコントの二刀流で、劇場や賞レースで活躍し、若手実力派として人気急上昇中のコンビです。今年4月、結成10年目を迎える節目に、テレビ番組『しくじり先生 俺みたいになるな!!』(テレビ朝日)でコンビ名を変更したことでも話題となりました。

 恥について尋ねると、「芸人をやるような人はそもそも恥ずかしいって感覚がない」と笑いながら語ってくれたお二人。西村さんは昔からその感覚だったそうですが、きょんさんは芸人を始めた頃まで極度の恥ずかしがり屋だったといいます。真逆の性格をもっていたお二人に、恥にまつわる半生をうかがいました。

スベるより、前に出ないことが「恥」

——お二人は普段、恥ずかしいと感じることってありますか?

西村 あんまりないですね。

きょん 「恥ずかしかったことは?」って聞かれること自体あんまりないよね。「辛かったこと」とか「楽しかったこと」とかのエピソードはよく聞かれるけど。

西村 芸人ってそもそも恥ずかしいって感覚がない人のほうが多いんじゃないですか。ボケてるやつが、自分で「恥ずかしい」と思ってたら、全然おもんないでしょうし(笑)。

——たとえば舞台でスベったりしても、恥ずかしいとは思わないんですか?

きょん もちろんスベった瞬間は、「恥ずかしっ!」って思いますよ。でもお客さんにはまったくウケてなくても、芸人のうち誰か一人は絶対めちゃくちゃ笑ってるんです(笑)。「マンキン(全力)でスベった」って状況が一個の笑いになるというか。だから、スベることを恥ずかしいと思ってるやつは少ないんじゃないですかね。

西村 まあ俺らがスベるのなんて日常茶飯事だから(笑)。もう慣れちゃってるよな。

それに、どんだけスベったとしても、先輩たちが絶対なんとかしてくれますしね。だから「スベったらどうしよう」っていう不安も全然ないです。たぶん芸人って、めちゃくちゃ無茶なチャレンジをしても、“失敗”がない職業なんですよね。

きょん 俺はスベったときよりも、何もできなかった時のほうが恥ずいし悔しいかも。

芸人になってすぐに出たライブで、1年目の若手を紹介するコーナーがあって。すごい盛り上がってたんだけど、俺だけめっちゃ緊張しちゃってまったく前に出られなかったんです。今でもその時の恥ずかしさは、はっきり覚えてますね(笑)。

彼女をドン引きさせた西村の「天の川わたり」

——お二人とも、小さい頃からあまり恥ずかしさを感じることがなかったんですか?

西村 俺はマジでないっすね。小学生の頃から、めちゃくちゃ目立ちたがり屋で、ザ・お調子者って感じの性格だったんで。中学の卒業代表挨拶とか、大勢が見てる大事な場面でも全力でふざける、みたいなタイプ。後からすごい怒られましたけど(笑)。

きょん でもにっくん(西村さんの呼び名)あれは? 七夕のバケツのやつ。

西村 ああ! まあ、あれもいま振り返ったら恥ずいのかなあ……。

きょん いやいや、あれはマジで恥ずいでしょ!(笑)

西村 高校生の時に付き合ってた彼女がいて、七夕の日にサプライズで会いに行ったんですよ。途中、バケツの水を頭から被って......。濡れたまま彼女の家の前まで行って、「天の川渡ってきた! びしょびしょやー!!」って叫んだんです。

——はははは(笑)。それも当時はまったく恥ずかしくなかったんですか?

西村 まっったく! 彼女はめっちゃ引いてたんですけど(笑)。俺は「なんで笑わんのん! いい大喜利してるやん!」って思ってました。

「人から見たら恥ずかしいことをしてたのかも」って気付いたのが本当に最近なんですよ。この間テレビ番組の収録で、初めてめちゃくちゃイジられて、「俺ってもしかして人と感覚が違う……?」って。37歳にして新しいキャラクターが開眼した感じ(笑)。

だからこうやって人に指摘されるとエピソードも出てくるけど、「恥ずかしい経験」って名前で頭の中に保管してないんで、自分では全然思い出せないんですよね(笑)。

恥ずかしがり屋で赤面症のきょん少年

——きょんさんも、子どもの頃から目立つタイプだったんですか?

きょん 俺はもともと超恥ずかしがり屋でした! にっくんとは真逆のタイプ。しかも、恥ずかしいと顔が真っ赤になって、それがまた恥ずかしい! ってなっちゃう、いわゆる赤面症の人間だったんです。

子どもの頃、妹がすっごい藤井隆さんが好きで、親戚の前で「ホットホット!」ってギャグをいっつもやってて。もうそれを見てるだけでも恥ずかしかった(笑)。「はっず! なんだよあいつ、やめろよ……。」って思ってましたね。

——へえ! いつから恥ずかしさを感じなくなったんですか?

きょん 最初のきっかけは高校時代かなあ。男子校だったんで、「お前なんかやれよ!」みたいなノリが多くって。そうやってちょっとずつボケたり、人前に出たりする機会が増えて、慣れていったんだと思います。

西村 でも舞台に立ちだした頃も、顔赤くなるときあったよな?

きょん あったあった! 若手の頃は、舞台に立つのが恥ずかしいのもあったけど、緊張したり、テンションが上がったりしても、すぐに赤くなってて。それ自体が恥ずかしくて嫌だったなあ……。とにかく顔に血が上らないように、いつも舞台袖で「平常心、平常心」って唱えてました(笑)。

「俺の全てを知ってるやつら」の存在

——舞台上でも赤面しなくなったのは、いつごろだったんですか?

きょん 3年目くらいかなあ。やっぱり場数を踏むことで、いつの間にか慣れていったんだと思います。

——緊張しながらも舞台に立ち続けて、赤面症を乗り越えられたのはすごいですね! でも一般の私たちには、きょんさんのように「舞台に立ち続ける」のは難しいので……、それ以外にも、なにか恥ずかしがり屋を克服するためのアドバイスはありませんか?

きょん うーん……。もしかしたら、全部をさらけ出せる相手がいたのがよかったのかもしれません。

若手の頃、5年間くらい、同期の芸人4人でルームシェアをしてたんです。お互いになんでも話したし、いっぱいケンカもしたし、泣いたし。素の性格とか、過去の出来事とか、本当に俺の全部を知ってるやつらで。そういう人が身近にいたのも影響してるんじゃないかな。

たとえば、恥ずかしいこととか、失敗したことがあっても、すぐに「ちょっと聞いてよ〜、こんなんあってさ〜」って愚痴って、誰かに笑ってもらえると、マイナスな感情も上手く消化されるような気がしません?

それに「なにやってもいい! 全然恥ずかしくない!」って感覚を経験していくと、恥ずかしいって感覚自体がだんだん薄まっていくっていうか。

——なるほど。たしかに「恥ずかしさを感じない場所」がひとつでもあれば、克服の第一歩になりそうです。そういう経験の積み重ねが、今のきょんさんをつくっているんですね。

西村 まあ、それでもやっぱり、芸人っていう特殊な環境も大きいよな。周りを見れば自分よりもっと変なことをしてるやつらがいっぱいいますし。この業界に入ったら、みんな「恥ずかしい」って感覚もバグっていきますよ(笑)。

きょん  たしかに(笑)。だけど、そういう人がいれば、少なくとも恥ずかしいって気持ちを引きずったり、落ち込んだりすることはなくなるんじゃないかなと思います。

って言いつつ、俺も引きずってることもありますけどね! 彼女に、真顔で「口くさっ!!」って言われたこととか(笑)。それ以来欠かさずコレ持ち歩いてます(ミントタブレットを食べながら)。

西村 お前、今日3(つ)食ったほうがいいぞ!(笑)

きょん えーっ、いま言う!?

写真:小池大介、取材・執筆:水沢環、編集:ツドイ

▼コットン Information

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