よなよなエール公式サイト

国境を越えた「乾杯」の裏側。台湾・Taihu Brewingと挑んだ、台湾茶を活かしたビールづくり【ブルワーレポート】

国境を越えた「乾杯」の裏側。台湾・Taihu Brewingと挑んだ、台湾茶を活かしたビールづくり【ブルワーレポート】

こんにちは! 「そらとしば by よなよなエール」のブルワー、まれみんです。

今、そらとしばの店頭ではブランド初となるコラボレーションビール「そらとしば シーズナル#17 紅烏龍麦酒」が繋がっています。お相手は、台湾を代表するブルワリー「Taihu Brewing(臺虎精釀)」。実は彼らとは以前から、国際的なビール品評会(International Beer Cupなど)を通した交流がありまして。「よかったら、コラボしてみない?」というお誘いに快くOKしてくれたことで、今回のコラボがスタートしました。そんなTaihuメンバーとのビール開発について、紹介させてください。

8月の台北で、台湾茶の魅力を再認識

台湾最大級の問屋街・迪化街の写真
台湾最大級の問屋街・迪化街

今回のコラボレーションが本格的に動き出したのは、2025年8月末の台湾訪問でした。台北に到着した私たちに「打合せの前に、まずは台湾のビール文化や食文化に触れてみない?」とTaihuメンバーが提案してくれたんです。

そこで台湾のお茶文化に触れることになります。実は、大学生の時に台湾に来たことがあり「台湾のお茶って面白いなあ」と感じていたのですが……今回改めて訪れて、そのバラエティの豊かさに感動しました。

台湾のセブンイレブンのお茶コーナー
台湾のセブンイレブンにて。冷蔵ケース2つ分がすべてお茶! コーヒー等をのぞくと7~80種類くらいのお茶が陳列されています。

日本よりも圧倒的に種類が多く、それがコンビニ等にも浸透していて、お客さんは自分の気分に合わせて数ある中から飲みたいお茶をピックアップしていくのです。すごい! とそらとしばのメンバーと盛り上がりました。笑 そして、こんなに台湾の方に親しまれているお茶を使って、ビールづくりをしたいと思うようになったんです。

複数の小瓶に詰められた茶葉の写真
お茶の専門店での飲み比べ

Taihu Brewingの醸造所でお茶の選定をしているときの写真
Taihuの醸造所「Taihu Lab」にて

その後何種類もの茶葉を飲み比べる中で出会ったのが、今回の主役となる、紅茶のような香りの「蜜香烏龍茶(みっこううーろんちゃ)」と香ばしく奥深い味わいの「紅烏龍茶(ほんうーろんちゃ)」です。日本に帰国してからは、TaihuのブルワーであるDada、Sandyとメールでレシピの相談を重ねました。

私たちが目指したのは、モルトの風味と穏やかなホップの苦味が調和した、イギリス発祥の「スペシャルビター」というビアスタイルをベースに、台湾茶の香りを美しく乗せること。どうすればお茶の香りをしっかり乗せられるかというテーマで意見交換をするんですが、台湾のブルワーならではの考え方や価値観に触れることができ、とても勉強になりました。これは今後のビールづくりにも還元していきたいと思っています。

台湾での食事の写真
台湾の食文化に触れた時の一コマ

サプリ・酒豪伝説の写真
豆知識:台湾では酒豪伝説が大人気!

11月、クロスコラボで挑む「生ハムメロン」の仕込みへ

11月、私とブルワーのみたぱんは再び台湾へ。目的は、台湾で提供する「道産メロンを使ったビール」の仕込みを共に行うこと。

Taihu Brewingの醸造所にある予定表の写真

Taihu Brewingでの仕込みの様子

実は今回のコラボレーションはお互いの醸造所を行き来してそれぞれビールを仕込む「クロスコラボ」。台湾でつくるビールは、そらとしばの「 サマーバジルゴーゼ 」で培った知見を活かせる、ゴーゼスタイルのビールです。担当ブルワーだったみたぱんと、Dada、Sandyでレシピを作っています。

ビールタンクにメロンピューレを投入しているときの写真

生ハムメロンゴーゼのイメージ写真

メロンの甘い香りと、酵母が生み出す乳酸由来の酸味、そしてスパイスのアクセント。まるで「生ハムメロン」のようなユニークなゴーゼは、Taihuの遊び心と私たちの知見が融合した自信作です。2月6日現在、台湾のTaihu直営店を中心に提供中ですので、台湾訪問の予定がある方はぜひ!

Taihu Brewingスタッフとの集合写真
左から:アシスタントのRice、Sandy、私、みたぱん、Dada

難しかった「ちょうどいい」着地点

11月下旬、今度はTaihuのメンバーを北海道に迎え、いよいよそらとしばでの仕込みがスタートしました。

モルトをミリングの投入口に投入している様子

そらとしば醸造所内を案内しているときの様子

お茶を副原料に使う際、もっとも注意すべきことのひとつが「タンニン(渋み成分)」です。お茶の香りはしっかり引き出したいのですが、そのために茶葉を漬け込みすぎると一気に渋みが強くなってしまいます。

さらに、茶葉の投入はビールの「pH」にも影響を与えます。pHが想定より下がりすぎてしまうと、口当たりが鋭くなり、スペシャルビター本来の柔らかな飲み心地が損なわれてしまうのです。しかも、コラボ醸造は今回が初めて。絶対に成功させたい!といつも以上に緊張しながら、仕込みを進めていきました。

紅烏龍茶の茶葉
醸造に使用した紅烏龍茶

茶葉をビールの窯に投入しているときの様子
煮沸している麦汁に茶葉を漬け込んでいる時の様子

香りと渋みのバランスを設計して書き起こしたレシピの通りに仕込みを終え、出来上がった麦汁でTaihuメンバーと乾杯したときは……安堵と達成感がありました。その後の発酵と熟成も順調に進めることができ、お茶の香りと渋み、酸味のバランスがとれた「紅烏龍麦酒」が完成したのです。

Taihuのメンバーと乾杯している様子
麦汁で乾杯

狸小路で飲み歩いているときの写真
仕込み後は打ち上げへ。リカーズカラハナで2次会後の一コマ

Taihu Brewingでつくった紅烏龍麦酒のイメージ画像

ちなみにこの紅烏龍麦酒ですが、Taihuのメンバーも気に入ってくれて、台湾でも醸造してくれることになりました(!) 先ほど紹介した生ハムメロンゴーゼと同じく、台湾のTaihu直営店を中心に2月6日現在も提供中です。台湾で飲み比べをぜひ!

たくさんの経験ができたコラボビール。
ぜひお試しください!

そらとしば シーズナル#17 紅烏龍麦酒のイメージ写真

出来上がったビール「紅烏龍麦酒」は、「RED X」という赤味を出すことができる麦芽を使用し、台湾の旗をイメージしたほんのりとした「赤色」に仕上げました。冷たい状態でもおいしく飲めますが、少しだけ時間を置いて温度を上げると、お茶の香ばしさとモルトのコクがより感じられるようになります。ぜひおためしください!

最後に……TaihuのヘッドブルワーWinnieさん、ブルワーのDadaとSandy、サポートしてくれたYuhangとJohn、そして、言語が拙い私たちの想いをTaihuメンバーへ完璧に繋いでくれたDavidとRex(日本語がすごく堪能なTaihuのメンバーです!)に感謝を。みんなの温かいホスピタリティのおかげで、私はこのビールを最後まで自信を持って造り切ることができました。ありがとう!

皆さんもぜひ、エスコンフィールドで紅烏龍麦酒を味わってみてください。お待ちしています!

そらとしばとTaihu Brewingのブルワー同士の集合写真

(おわり)

この記事を書いた人