木樽熟成「バレルフカミダス Batch No.61」ってどんな味わい?ロマンたっぷり、奥深いバレルの世界をブルワーに聞いてみました
「バレルフカミダス」とは、ウイスキーやワインの製造で使用した木樽(バレル)でビールを熟成させる“バレルエイジ技法”を採用してつくられているビールです。
海外では一般的なビアスタイルですが、国内ではまだまだ認知度が低く、醸造しているブルワリーも限られています。
そんなヤッホーブルーイングのバレルエイジドビール最新作、「バレルフカミダス Batch No.61」が、11月3日(月)より一般販売を開始する、「マジ福袋」極夢セットのラインナップに登場!
本日は、長年バレルフカミダスのレシピ開発を担当するブルワー「がみた」と、今回初めて開発に携わったブルワー「ピーピー」のお二人に、バレルの深遠な魅力をたっぷりと語っていただきました。
バレルフカミダス Batch No.61の基本情報

・内容量:350ml
・原材料:麦芽(外国製造又は国内製造(5%未満))、ホップ、乳糖
・ビアスタイル:バレルエイジドビール
・アルコール度数:12.0%
初めてのバレルフカミダスは、衝撃の連続
(左から、がみた、ピーピー)
―簡単にお二人の自己紹介をお願いします。
がみた:2015年入社、レシピを書き始めて5、6年くらい。バレルフカミダスシリーズはもちろん、「僕ビール君ビール」、「裏通りのドンダバダ」の開発にも携わってます。
ピーピー:私はがみたの1年あとの2016年入社で、ブルワー歴5年くらいです。「山の上ニューイ」や「軽井沢ビール クラフトザウルス フレッシュホップエール」の開発を5年間担当しました。
ーがみたはバレルフカミダスのイメージが強いですが、何年くらい携わってきたんですか?
がみた:何年やってんだろう...。7、8年くらいかな。Batch No.16あたりから携わってるけど、とくに思い出深かったのはシングルカスク。
ピーピー:あ、私も当時買って飲みました!まだ瓶でしたよね。
がみた:そうそう。最近は、複数の木樽で熟成させたビールをブレンドして「バレルフカミダス」をつくっているけれど、1つの樽だけで仕込む取り組みは面白いなと思ったんだよね。あとは、インペリアルスタウトで仕込んだ2017年のバレルフカミダス。バレルのためだけにレシピを書いて、インペリアルスタウトを作りました。
ーそんながみたに対して、ピーピーは今回初めてのバレルフカミダスだったんですよね。どうして開発に携わってみようと思ったんですか?
ピーピー:お酒の中でウィスキーが1番好きで、ずっとバレルフカミダスに興味をもっていて。私もバレルフカミダスの開発やりたいー!ってオファーを出してたんです。
念願叶い、今回初めて携わってみて、こんなにクラフトマンシップでこだわりが詰まったビールだったんだ・・・!と色んな作業を通して知り、衝撃を受けました。
ーどういった点でとくにそう感じたんでしょうか?
ピーピー:バレルエイジドビールって、木樽の特徴がそのまま味わいに反映されるんですよね。一方で、木樽に入っていたお酒の種類が同じでも、樽ごとに香味が違うので完成形を思い描くのは難しくて。
目指す味わいに向けて木樽の選定をするのはもちろんだけど、熟成させて、飲んでみないと分からないというワクワク感が、本当に面白いビアスタイルだなと思いました。
「バレルフカミダス Batch No.61」ってどんな味わい?
ー今回の「バレルフカミダス Batch.61」では、13樽をブレンドしたそうですね。その13樽を選抜した背景を教えてください。
がみた:バレルフカミダスは、基本的に複数の木樽で熟成させたビールを最終的にブレンドしてる。
その木樽にはそれぞれのキャラクターがあって、グレーンウイスキーが入ってるものは、出来上がるビールもドライ・ウッディ・ライトになる傾向がこれまでもあったんだよね。ただ、それだけを選んでブレンドしてしまうと、味わいの偏りが出たり、複雑さに欠けたりしてしまう。
だから今回は、ヘビーピートや海外モルトといった他の種類を使用してみたの。これまでの経験から、モルトウイスキーのほうがふくよかさ・丸みを帯びやすいっていう傾向が掴めてた。だから、グレーンとモルトウイスキーのブレンドをしっかりしたほうが、全体として美味しいバレルエイジドビールが出来上がるんじゃないかなと思ったんだよね。
ーではそのブレンドを経て出来上がったBatch.61ってどんな味わいなんでしょうか?
がみた:前作よりもシェリー酒感はなくなったかな。ベリー、レーズン、ドライフルーツのような甘い香りと、ビターチョコやハイカカオみたいな、香ばしくもトロピカルな香り、様々な香りが複雑に折り重なっている。少し温度が上がると、心地よいアルコールと同時に、ウッディーな木樽由来のキャラクターも感じられるかな。
ー(実際にテイスティングしながら)うわ!確かに。少し手でグラスを温めると、また全然違いますね。
ピーピー:そうそう!冷蔵庫から出してすぐよりも、グラスに注いで少し温度が上がった状態のほうがしっかり味わいを感じられる。温度帯によってとくに味わいが変わるのも面白いよね。
がみた:バレルフカミダスを飲む皆さん、ぜひ少し温めてから味わってみてください!ほんとに全然違うんで!
バレルフカミダスはブルワーにとってどんなビール?
制御ができない。だからこそ面白い!
ーさて、ここからはもう少しブルワーの思いを深堀りさせてください。ブルワーにとって、バレルフカミダスってどういうところが面白いんでしょう?
がみた:うーん。やっぱり「制御ができない」感じかな。バレルエイジドビールって、出来上がりのイメージがとても難しいビールなんだよね。
狙ったところに到達するための木樽選定はするけど、実際に詰めてみないと分からない。ビールを払い出しする時にテイスティングしてみて、こんな感じになったのか!ってワクワクする。
ピーピー:がみたの言う「制御できない」という感じ、私もすごく共感する。同じバレルに入れてるのに全然味が違うことが読めなくて、同じバレルでなんでこんなに違うの?!入れた日も同じなのに?!って(笑)そこが難しくもあり、面白い!って思ったかな。さらにそれをブレンドしながら、理想の味わいに近づけていくのもブルワーの腕が試される感じがしてまた面白いんだよね。
ーちなみに、ピーピーの思い出深いバレルエイジドビールってあるんですか?
ピーピー:昔、アメリカのGreen Flashに行った時に見た「Celler 3(※Green Flashがバレルプログラムのために作った施設)」が圧巻だったのが記憶に残ってる。セゾンをカベルネソーヴィニヨンの樽で熟成させたとか、こっちはリースリング、こっちはシャルドネとか。こういうのがヤッホーでも出来れば面白そうだなって。
※写真は2016年撮影のもの
がみた:あとはあれじゃない?AleSmithの秘密の部屋(笑)
ピーピー:あ〜!確かに。あそこはビアパブの中にバレル部屋があって、樽の中に入っていくようなおしゃれなデザインだったんだよね。少し行きづらい厳かな感じだった。あれは印象深かったな〜。
※写真は2016年撮影のもの
ヤッホーブルーイングがチャレンジし続ける理由
ー最後に、“ヤッホーだからこそ出来るバレルエイジドビール”ってありますか?
がみた:個人的には、「ヤッホーが出したほうが良いなというバレルエイジドビール」がある。ヤッホーブルーイングは流通がしっかりしてるのと、色々な人に広く飲んでもらえるのが強み。バレルの入り口に立てるような設計にしてあげられるようなのが理想だから、ライトな人でも飲めて、美味しいなと思えるビールを作ってる。
これまでのバレルフカミダスシリーズも、クセが強いというよりはバランスが良くて、誰でも気軽に楽しめるような設計にしてたのね。もちろんやろうと思えばいくらでも尖ったものも作れるけど、あえてそれを意識している。
ーなるほど。マジ福袋のように、クラフトビールを初めて飲むような人にお届けするビールとして、その気持ちはとても大事ですね。一方でブルワーとして作りたい尖ったビールを、コアなファンの方に向けてしっかり届けていきたいなとも思いました。本日はインタビューありがとうございました!
マジ福袋2026の極夢セットで楽しめます!
ご紹介した「バクの初夢2026」は、よなよなの里にて、11月3日(月・祝)より発売されるマジ福袋2026 極夢セットにて販売いたします。
(おわり)
