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アメリカンウィートエールってどんなビール?

アメリカンウィートエールってどんなビール?

「アメリカンウィートエール」と聞いて、「ああ、こういう味わいだよね」とすぐに思い浮かぶ方は少ないのではないでしょうか。

それもそのはず。日本のブルワリー(ビール醸造所)ではもちろん、海外のブルワリーでも定番でアメリカンウィートエールをつくっている所は少ないのです。つくっていたとしても、缶や瓶に詰めて流通されていることは、あまりありません(樽に詰めて飲食店で提供することが多い)。

一見マイナーなアメリカンウィートエールですが、実はとても面白い誕生の経緯があるんです。この記事では、アメリカンウィートエールの基本情報や発祥について解説します。

アメリカンウィートエールの基本情報

発祥国アメリカ
発酵方法上面発酵酵母(エール酵母)または、下面発酵酵母(ラガー酵母)で発酵
アルコール度数3.8%~5.0%
ビールの色合いゴールド~ライトアンバー(薄い琥珀色)

小麦(Wheat)を使用するビアスタイル

アメリカンウィートエール(American Wheat Ale)は、アメリカで生まれた、小麦(=ウィート・Wheat)を使用するビアスタイルです。

ビールの原材料は主に「麦芽・ホップ・水・酵母」の4つ。この中の「麦芽」は、”大麦”の麦芽を使うことが多いのですが、一部のビアスタイルでは”小麦”の麦芽や、小麦そのものを使用することがあります。アメリカンウィートエールもその一つです。

小麦(麦芽)は大麦(麦芽)と比べて、たんぱく質の含有量が高いため、大麦のみを使用してつくったビールに比べると、まろやかで優しい口当たりに。また、そのたんぱく質を元につくられる、華やかなエステル香(酵母がつくる香り)も特徴の一つです。

「ヴァイツェン」や「ベルジャンホワイト」との違い

「小麦を使ったビール」と聞くと、ビール好きの方であれば「ヴァイツェン」や「ベルジャンホワイト」などのビールが思い浮かぶのではないでしょうか。

その見た目から“白ビール”といわれることの多いヴァイツェンやベルジャンホワイトは、苦味が少なくフルーティなものも多いため、日本でも人気の高いビアスタイルです。

これらのビールと、アメリカンウィートエールの違いは「歴史」です。

互いにヨーロッパ発祥のヴァイツェンとベルジャンホワイトは、中世ごろからつくられているといわれていて、専門で醸造する老舗ブルワリーもあるほど歴史のあるビアスタイルです。

一方アメリカンウィートエールが生まれたのは、1970~1980年代。前者と比べると、かなり最近生まれたビアスタイルなんですよ。

誕生のきっかけは、アメリカのクラフトビールムーブメント

1970年代のアメリカで、大手ビール会社(バドワイザー、ミラー、クアーズ等)に対してのカウンターカルチャーとして、クラフトビールムーブメントが起こりました。

「画一的な味わいのビールではなく、もっと色々なビールを作りたい・飲みたい・飲んでもらいたい!」そんな想いから、沢山のブルワリーやブルーパブ(醸造所にパブが併設された飲食店)が誕生したんです。

当時のブルワリーが意識していたのは「バラエティを提供すること」。少なくとも4~5種類程度のビールを、いつでもお客さんに提供出来る状態を目指していました。

そんな背景もあり、今までにはない新しいビアスタイルが、この時期にどんどん生まれていったのです。その一つが、アメリカンウィートエールでした。

アメリカの自由な気風が生んだビール

ベルジャンホワイトやヴァイツェンのような、伝統的なビアスタイルをつくろう!……ではなく、自分たちで新しく「小麦を使ったビアスタイル=アメリカンウィートエール」をつくってしまうというのが、なんともアメリカらしいですよね。

ちなみに、現在世界中で最も愛され・つくられている「アメリカンペールエール」や「アメリカンIPA」も、この時に生まれたビアスタイル。

アメリカのブルワーたちは既存のビールにとらわれず、「自分たちが新しくビアスタイルをつくるんだ!」という想いで、どんどん新しいビアスタイルを確立させていったのです。

ご当地アイドル的存在の、アメリカンウィートエール

アメリカンペールエールやアメリカンIPAが人気を集め、世界中に広がっていく中で、アメリカンウィートエールはというと、大きく流行することはありませんでした。

ですが、地域に根ざしたブルーパブなどではよくつくられていたそう。派手なところはないものの、その優しい味わいで地元の人たちから愛されてきました。

全国区のテレビにばんばん出演するようなアイドルではなく、ローカル局で長く愛されてきたご当地アイドルのようなビール……それが、アメリカンウィートエールなのです。

この記事の冒頭で紹介した通り、日本国内で流通することはかなり少ないのですが、もし見かける機会があれば、ぜひ手に取ってみてくださいね。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

「よなよなの里」では、他にもビールに関する「よみもの」をたくさん掲載しておりますので、よかったらほかのよみものもご覧くださいね。

それではまた!

この記事を書いた人
よなよな編集部

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