ビールづくりは「ミリング」から
みなさんこんばんは、品質管理のいたっちです。 好きなおでんの具はちくわぶです!
製造現場で働く私たちが、醸造所の日常をお届けする「醸造所日誌」。
第3回目である今回は、醸造工程のひとつである「ミリング」についてご紹介します!
そもそもミリングとは?
ミリングとは、原材料である麦芽(モルト)を砕く作業のことを言います。そもそも麦芽とは大麦を発芽させて乾燥させたものです。ビールのベースとなる原料の一つであり、味や色に大きく影響しています。ビールを作るときに必要なのが、麦芽に含まれている「でんぷん」です。ミリングは、でんぷんを抽出しやすくするために行う作業です。
これはミリングを終えた後の麦芽。白っぽく見えるものがでんぷんです。これがなければビールは出来上がりません。
ビールをつくるときには「糖化」という工程が必要です。粉砕した麦芽をお湯の中に投入して、1時間ほど弱火で混ぜながら煮込むと、お湯に溶けだした麦芽のでんぷんが、麦芽の酵素(アミラーゼ)により糖へと変化します。アルコールは糖分を酵母が食べることで生成されるので、糖化が成功しなければビールはできないのです。
ミリングやってみた
ミリングは醸造のお仕事の一つですが、今回はブルワーと一緒にやってみました。インドの青鬼の仕込みの時には、全部で82袋の麦芽を使うので、計2.05トンの麦芽をミリングしていきます。
実は、今年新しい機械を導入してミリングの方法が変わったんです。新しい機械を入れる前と後の両方をレポートしたいと思います。
まずは従来の方法をご紹介
麦芽袋の口をふさいでいる紐を1ヶ所切ってほどきます。簡単なようでコツが必要なこの作業は、上手な人は一袋数秒、下手な人は一袋に数分近くかかってしまいます。
ようやく袋が開いたら、人の手で一袋ずつ持ち上げて移動させていきます。なんと一袋につき25kg(!)。それなりに重いんです。
移動させたら、そのまま粉砕機に麦芽を投入!3人がかりで82袋の麦芽をすべて投入し終えるまでに、紐取りからここまでで約2時間、地味に腰にくる作業です。今までは2人1組での当番制でミリング作業を行っていました。
壮絶な過去を経て「玄米キャッチャー」投入!
地味に大変で時間のかかるこの作業に革命を起こしたのが「玄米キャッチャー」!紐取りをしていない袋を、この機械を使ってUFOキャッチャーのようにキャッチします。袋を挟んだ状態で移動し、粉砕機のそばへ。
袋の下部をカッターで切断し、麦芽を投入!かかる時間は全体で約1時間に短縮され、力を使わなくてもよくなり、とっても楽になりました。すばらしき文明の力!ありがとう「玄米キャッチャー」!
これからもこんな感じで、ゆるく醸造所の日常をお届けしていきます。
醸造所のことで気になることがありましたら、ぜひリクエストをお送りください。
ではまた次回もお会いしましょう!いたっちでした。