結局どういう存在なの?ビールメーカーの排水処理施設
こんばんは、まーむです。 醸造所前にある巨大な施設、あれはいったい何なのか?!今日はお客様からの質問にお答えします!
醸造所のことをお届けしている「醸造所日誌」。はやくも第11回です。すごい。
今回は、設備担当のふるちゃん・サトちゃんと一緒に、ビールづくりに欠かせない「排水処理施設」をご紹介します!
排水なくしてビールなし!
ビール造りでは、仕込み、発酵、ろ過、容器詰めなど、数多くの工程で「排水」が発生します。おおまかな排水量は、完成するビールの15~20倍!ビール造りには、排水作業が付き物なんです。
ビール造りで発生する排水には、モルトやホップ由来の成分が混ざっているので、綺麗な状態に戻してから流さなければいけません。
そこで大事なのが「排水処理施設」!
排水処理を支えている巨大施設、今回はこの中身をたっぷりご紹介します!
排水処理施設って、つまりこんな感じ
この巨大施設内は、役割ごとに部屋が分かれています。
ごみを取り除く「スクリーン」、分解処理を始める「調整槽」、本格的に分解処理をする「第1~第3ばっ気槽」などです。先程の写真でいうと、それぞれの部屋はこのあたりになります。
うおお・・・1枚の写真に収めきれていない・・・!!(すみません)
写真にうまく収められなかったのですが、写真左上には養分たっぷりの土から含水率を下げる「脱水機」が存在しています。養分たっぷりの土を受け止めるトラックは、脱水機のちょうど真下に停めてあるんですよ。
いろんな部屋をくぐり抜けることで、排水はどんどん綺麗になっていくんですね~。
排水処理の主役は微生物!
きっと「どういう仕組みで綺麗になっているの?」と思われる方もいらっしゃるでしょう。
排水を綺麗にしているのは、実は数億匹にもおよぶ微生物なんです!
微生物は排水内の有機物を炭酸ガスと水に分解してくれる存在。
普段は「第1~第3ばっき槽」で働いています。ばっき槽内にくまなく酸素を送り込むことで、微生物は元気に活動してくれるんです。
このように、排水を綺麗にしてくれるのは微生物ですが、彼らがもりもり活動できるよう、酸素や窒素をポンプで送り込んだり、ミネラルを送り込んだり・・・。活動の様子も顕微鏡でしっかり観察しながら、「サトちゃん」が微生物のサポートを担当しています。
月に1回、専門家(軽井沢衛生企業さん)とも一緒に、微生物の働きや排水状況をくまなくチェックしているんですよ。ここ数年は良好な状態を保っています。
養分たっぷりの土は近隣の農家さんへ
「ばっき槽」を通りぬけた排水はフィルターにかけられて、綺麗な水と、養分をたっぷり含んだ土とに分けられます。
脱水槽で含水率を下げた土は、醸造所裏のホップ畑で肥料として使っているほか、「畑の応援団」として、軽井沢の農家さんたちにも販売しています。農家さんたちにもすごくご好評いただいているんですよ。
醸造所の前にどーんと設置している、巨大な排水処理施設。
醸造所見学ツアーやオープンブルワリーで醸造所にお越しの際は、ぜひ排水処理施設にもご注目くださいね!
ではでは、今回はふるちゃん・サトちゃん・まーむがお送りしました。
おまけ
微生物って意外とかわいいんですよ~。
こちらが「イタチムシ」。動きや見た目がなんとなく「イタチ」の様子を感じさせることから、この名前が付いたんだそうです。かわいいな~。
ちなみに地球最強生物と言われている「クマムシ」も見付けることができます。なんとこのクマムシ、体重の85%をしめる水分を3%以下まで減らすことができて、極度の乾燥状態にも耐えられるんですって。一時期、醸造所内で大盛り上がりでした。