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ビールの表記の「IBU」ってなに?計測方法も解説します

ビールの表記の「IBU」ってなに?計測方法も解説します

IBUとは?

チューリップグラスに注がれたクラフトビール

クラフトビールの缶や瓶、ビアパブのメニューなどに「IBU」という表記があるのを見たことがありませんか?

「IBU(アイビーユー)」とは「International Bitterness Units」(日本語訳で、国際苦味単位)の頭文字をとった略称で、ビールの苦みを数値化したものです。

すごく簡単にいうと、IBUの高いビールは苦みが強く、低いビールは苦みが控えめ。IBUのことを知っていると、「あまり苦くないビールが飲みたいな」とか「今日はちょっと苦みが効いたビールが飲みたい」といったときに、ビールを選ぶ目安になります。

ビール名 IBU
水曜日のネコ 11
よなよなエール 41
インドの青鬼 62
参考:ヤッホーブルーイングのクラフトビールのIBU。ちなみに、日本で一般的に飲まれているラガービールのIBUは大体「20」くらいです。

ビールのIBU(苦味)は何で決まる?

ビールの原材料であるホップ

ビールの「苦味」をつくりだしているのは、ビールに欠かせない原材料の一つ「ホップ」です。ホップの中に含まれる「α酸」という成分が、苦味のもと。なのでホップをたくさん使ったり、長く煮込んだりすると、それだけビールに苦味成分が移りますので、苦い=IBUの高いビールが出来ます。

また、ホップの品種によってもα酸を多く持っているもの・あまり持っていないものがあります。α酸の多いホップを使って作ると、苦味がしっかりしたビールになるというわけです。

 

さて……IBUは、ビール好きの中では割と使われている指標なので「意味は知っているよ」という方も多いかもしれません。

ですが、IBUを「どうやって計測しているのか」をご存じの方は、あまりいらっしゃらないのではないでしょうか。

記事後半では、私たちが普段行っている「IBUの計測方法」にフォーカスを当ててご紹介します(少々マニアックかもしれませんが、ぜひ最後までご覧くださいませ!)。

ビールの苦味度(IBU)の測り方

IBUの測定は、実験器具と試薬を使って行います。使う実験器具はビーカー、三角フラスコ、ピペットマン、メスピペット、スターラー等々。皆さんも学生の頃に使ったことのあるような器具をたくさん使うんですよ。

IBUの測定①炭酸を抜く

ビールのIBU(苦味度)測定_炭酸を抜く

炭酸が入っている状態だと測定データにブレが出てくるため、20分ほど攪拌して炭酸を抜いていきます。

ビールのIBU(苦味度)測定_炭酸を抜く

20分経過後の様子。最初と比べると泡が大きく減っているのがお分かりいただけますでしょうか。炭酸ガスもおおよそが抜けて、測定ができる状態になりました。

IBUの測定②ビールと試薬を混ぜる

ビールのIBU(苦味度)測定_ビールと試薬を混ぜる

そのあと試薬と混ぜて、2分間一生懸命振ります。ここは人力でやっています。大変です。

ビールのIBU(苦味度)測定_ビールと試薬を混ぜる

振ることによって、ビールの中の苦み成分が試薬のほうに移るのです。

この後、さらに細かく分離させて分析にかけていきます。

IBUの測定③成分を分離させて分析する

ビールのIBU(苦味度)測定_遠心分離機で成分を分離させる

先ほど混ぜ合わせたものを、こちらの「遠心分離機」にかけて細かく分離させていきます。

ビールのIBU(苦味度)測定_成分が分離した状態

遠心分離機にかけて、きれいに成分が分離したものがこちら。

上層が有機溶媒と苦味度が抽出された層、一番下の層はビールを含む水層、真ん中が色々まざった層。使うのは一番上だけです。ここにある苦味成分を、吸光度計という「光を当て、検体がその光をどれだけ吸収するか」を測定できる装置で、測定していくんですよ。

ビールのIBU(苦味度)測定_測定結果
測定後のデータ。

おいしいビールづくりに欠かせない、IBU(苦味度)検査

今回ご紹介したIBU(苦味度)検査は、製品開発の時にも欠かせません。試験開発したビールを、実際にテイスティングをして味の評価をすることはもちろん、計測したIBUの値をもとに「もう少し苦みを足そうか」「味のバランスをとるためにホップの量を少なくしよう」といった調整を行っているんです。

ブルワー(醸造士)の感覚や経験だけでなく、こうしたデータを使いながら試行錯誤を重ねることで、よりおいしいビールをお届けすることができるんですよ。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

「よなよなの里」では、この他にもビールづくりに関する記事がございますので、興味がある方はぜひ ほかの記事 もご覧くださいませ。それではまた!

(おわり)

この記事を書いた人