よなよなエール

お気づきのようですね。もぎたてのレモンのような、グレープフルーツの果皮のような華やかな香り。その正体は、ブルワーが愛してやまないカスケードというホップなのです。鼻腔をくすぐるこの香りを楽しむために、

香りを満喫するのが、クラフトビールの魅力ですからね。お次は味にもご注目。カラメルを思わせる甘みがふわっと広がり、炭酸の波がジュワッと押しよせる。苦味とジューシーさのうねりの中で気分が盛り上がり、心地よい酸味でフィナーレを迎える。物語の終わりを惜しむ中、鼻に抜ける香りの余韻がエンドロールのように続いていく。そして、またもう一口飲みたくなる。

それはまるで、

あ、ついつい語りすぎました。

世界には150以上もビールの種類があって、色んなビールを試す中で、自分の好みを見つける大人の楽しみもあるのです。ですが、日本で飲まれているビールは、ほぼ黄金色のラガービール一択。お店に並ぶのは、のどごしやキレを楽しむビールばかり。これ、みなさんあたりまえに受け入れていませんか。ですが、ちょっと想像してみてください。例えば、あなたがコンビニに行ったとしましょう。小腹も空いたし、おにぎりでも買おうと思って棚へ行く。そこであなたは目にするのです。

どのおにぎりもつくっている会社は違うのに、つくられているおにぎりは''ぜんぶ鮭’’。たまにバリエーションがあって、秋鮭とか、減塩仕立てとか、鮭マヨとかもあるけれど、

もちろん鮭好きの方のためにそんなお店があってもいいと思います。でも、梅おにぎり食べたいなって思いませんか?おかかを選びたい日もあれば、こんぶ、ツナマヨの気分の日だってあるでしょう。ですが、いま話したおにぎりのようなことが、ビールの世界では実は結構あることなんです。アメリカのお店では、多種多様なビールがずらりと並んでいます。ここ日本でも、色んな香りや味わいのビールを楽しんでほしい。そう。

そのためにも、あなたにはビールの種類、いわゆるビアスタイルをぜひ知っていただきたいのですが、まだお時間ありますか?

いまあなたのグラスに注がれているよなよなエール。これは「アメリカンペールエール」という種類のビール。ホップが効いてより華やかな柑橘香と苦みのパンチを楽しめる「インディアペールエール(IPA)」という種類もあれば、苦みをほとんど感じずフルーティな「ベルジャンホワイトエール」という種類もある。その他にも、フレッシュで軽快な味わいの「セゾン」や、黒ビールの「ポーター」「スタウト」、まるでウイスキーやワインを思わせる「バーレイワイン」というビールだってある。ビビッと来たら直感のおもむくまま、ぜひ色々試していただきたい。

その中でブルワリーごとの違いを探ってみるのも楽しいですし、料理に合わせて飲むビールの種類を選んでみるのもよいでしょう。

これは語り始めると数時間か
かってしまうので、また今度
の機会に。そうそう。せっかく
ビアスタイルの話をさせて
もらったので、ビールの飲み方
についてもお話しさせてください。

あなたはビールを飲む時、缶から直接飲んでいますか?香りを存分に楽しみたいなら、ぜひグラスのご用意を。だってほら、缶の飲み口とグラスの口径を見比べてくださいよ。

グラスは缶の飲み口12個以上の大きさです(※私調べ)。出口が広いぶん、あなたのお鼻にたっぷり香りが届くのです。ところで、あなたはビールのグラスと聞いて、どんなグラスが思い浮かびますか?瓶ビールを飲むような小さなグラスでしょうか?それともジョッキグラスでしょうか?

実は、ビアスタイルごとにぴったりの
グラスがあるのです。今日は特別に、
私のコレクションの中から一部
ご覧に入れましょう。例えば、
世界的に人気な「IPA」。この
ビールには、卵のように丸みのある
カップとうねりつきの円錐タンブラー
が合体したような独特な形のIPA
専用グラスがあります。

卵型の部分で香りを包み込みながら、飲んで手首を

返した時にビールがグラ
ス下部のうねりに当たり、
香りと炭酸が再び湧き上
がる優れものです。

他にも、南ドイツ発祥のビアスタイル
「ヴァイツェン」には、底よりも飲み口
の方が広く背が高いヴァイツェング
ラスがぴったり。見た目がユニーク
で、眺めているだけでも心がウキ
ウキするこのグラスたち。実際に
ビアスタイルに適したグラスで飲んで
みると、嘘みたいに普通のグラスで
飲むのとは印象が変わるのです。

よなよなエールのおすすめは、「ノニックグラス」という上部にぷくっと膨らみがあるグラス。私なんかはこのグラスを見るだけで、もう口の中がよなよなエールの味になって幸せな気分になります。

グラスを準備したら、もうひとつこだわってほしいのが、ビールの温度。ひょっとして冷たければ冷たいほどよいと思っていませんか?

結論からお伝えします。よなよなエールの飲み頃温度は、ずばり「13℃」。温度を変えながら何度も飲んできた私が導き出した結論です。レモン
やグレープフルーツを思わせる香り
が最も豊かに感じられるのが
この温度なのです。冷蔵庫
から出したてのビールの温
度がおよそ5℃。それを常温
のグラスに注ぐと温度があがって7、8℃。
だいたいそのくらいの温度で召し上がられることが多いと思います。よなよなエールを飲む時は、冷蔵庫からビールを取り出したら、

3分ほど室温で放置してから
飲んでいただきたい・・・

※季節やお部屋の温度によって異なるのでご承知おきを。

言葉にするとたったの3分ですが、よなよなエールを前にすると実に長い…!もうそろそろかな、と時計を見ると、まだ1分しか経っていなかったりする。何もそんな厳密にとお思いかもしれませんが、私に言わせるとこの待つ時間も美味しさを増幅させる秘訣なのです。よなよなエールのパッケージは、花札みたいでユニークだなぁ。山の部分に描かれているのは麦穂かぁ。

なんて妄想を膨らませて時間が経ったら、ぷしゅっと開栓。このぷしゅっという音は、何度きいても幸せな音ですよね。13℃まで待った分だけ、開けた瞬間からよなよなエールの香りが鼻の奥まで届くでしょう。グラスと缶を手にもったら、グラスの口にそわせてゆっくり注いでください。慌ててはいけません。ビールによっては泡を立てて楽しむビールもありますが、よなよなエールは泡を薄めで飲んでいただきたい。

そうですね、

泡の層が薄い方が、ビールの香りをしっかり感じられます。よなよなエールの黄金比率は「9:1」。ここ、テストに出ますからね。覚えてきましょう。

話していたら私もよなよなエールを飲みたくなってきたので、最後に一言だけ。日本ではまだまだ飲まれていないクラフトビールですが、実に奥深くて楽しい飲みものだと思うのです。クラフトビールを楽しんで幸せな時間を過ごす人たちが、もっともっとこの国に増えていく。日本中、いや世界中の人たちと、

そんな未来を叶えるために、ここまでお付き合いいただいたあなたが、またクラフトビールを飲んでみようかな、と思ってくれたらうれしいですし、ご家族やご友人にもクラフトビールの魅力をお伝えいただけるとうれしいです。一緒にクラフトビールを広めていこうではありませんか。最近徐々に増えてきたクラフトビールのイベントの話もお時間があればお話しますが…。そうですね、今日はこの辺りでお開きとしましょうか。あなたと一緒にクラフトビールの話ができて、私も非常に楽しい時間を過ごせました。お互い好きなビールを片手に、また語り合いたいものですね。いつか乾杯できる日を楽しみにしています。それでは、また。

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