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こんにちは!
よなよなの里のさあやです。
私たちの大好きな”エールビール”について、
もっと知ってもらいたい!と思いたち、
この度「よなよなエール大学」を開講することにしました!・・・といっても、エールのことは、私もまだまだ勉強中の身。
専門的なことは、ちんぷんかんぷんなので(汗)、
よなよなの里のブルワー(ビール醸造家)のもーりーと製造スタッフのしょこたんに、
エールのあれこれを教えてもらおうと思います!
どうぞよろしくお願いします!
それで、肝心な初回のテーマなんですが・・・・
エールと言えば、香り! 香りなくして、エールは語れず!
ということで、『よなよなエールの香りの正体』について教えてもらいましょう!
私、初めてよなよなエールを飲んだ時、
ビールとは思えないような甘くて爽やかな香りがしてすごくびっくりしたんです。
な、なんじゃこりゃー!って。
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そーでしょ?
さあやが感じたその独特のアロマ。
それこそがエールビール最大の特徴であり、最も大事な命ともいえる部分なんだ!
…この香りの正体は主に3つ。
1)エステル香(酵母が発酵で作る芳香族化合物)
2)ホップ香
3)モルト香
この3つのアロマがバランスよく調和しているビールこそ高品質なビールであり、
俺たちの目指す理想のエールビールの香りなんだよ。 -
うっ・・・。初っ端からなんだか難しそう・・・。
要するに、よなよなエールは「エールビール」だから、
フルーティな香りがするってことですか? -
だいぶザックリまとめたな・・・んま、平たく言うとそういうこと。
今日は、さあやにも分かるように説明するから安心してよ。
さっき、初めて飲んだ時ビールとは思えない香りがしたって言っていたけど、
それは当然なんだ。
なぜって、エールビールは日本で飲まれている一般的なビールとは
種類が全く違うからなんだよ。ビールには、「エール」と「ラガー」っていう2つの種類があるんだ。
日本で飲まれている99%以上のビールが「ラガービール」。(※)
それに対してよなよなの里のビールは「エールビール」なんだ。
※正確に言うと、ラガーの中の「ピルスナー」という
スタイル(種類)のビールが99%を占めます。
ところで、さあやは「エール」と「ラガー」は何が違うか知ってる?
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もっ、もちろんですよ!
私だって、1年間よなよなの里で働いているんですからねっ!
えーっと、アレですよね?アレ、アレ。
えっと、ちょっとド忘れしちゃったんですけど・・・・
確か、酵母が入っているのがエールなんですよね!・・・あれ?ホップをたくさん使うのがエールでしたっけ?
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うーん。どっちも違うかな~。
(・・・この子、ここで1年も働いているのにコレで大丈夫なのかな・・・・。)
「エール」も「ラガー」も原材料は同じで、
モルト(麦芽)・ホップ・酵母・水から造られているの。
香り付けのためにスパイスやハーブを入れるエールもあるけど、
基本的には、モルト・ホップ・酵母・水の4つからビールは造られているんだよ。
それで、何が違うかというと、ビールを造る酵母の種類が違うの!
エールはエール酵母が、ラガーはラガー酵母が造っているんだよ。
エール酵母とラガー酵母のそれぞれの特徴を一覧にまとめてみたよ~
▼ビール製造における、エール酵母とラガー酵母の違い
※エール酵母は上面発酵酵母、ラガー酵母は下面発酵酵母とも呼ばれています。
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なになに・・・エール酵母は、せれびしあえ?)
(ラガー酵母は・・・うっ、長い・・・読むのはやめておこう・・・。)
(凝集性?・・・読めない!)
(あっ、高級アルコールっておいしそうな響き! )
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ちょっと専門的になるけど、順番に説明するね!
エール酵母のS.cerevisiae(サッカロマイセス セレビシエ)は、私たちの生活にものすごーく貢献している微生物で、清酒やワインなどの醸造にも使われている酵母の代表格なの! セレビシエは香気成分(エステルって呼ばれます)をつくるのが得意な子で、酵母の種類によってカプロン酸エチルとか酢酸イソアミルとかいろんな香りがつくられるの!
ラガー酵母のS.carlsbergensis(サッカロマイセス カールスベルゲンシス)は、エール酵母から突然変異で生まれた比較的新しい酵母で、1881年にデンマークのハンセンさんが初めて純粋培養して、その舞台となったカールスバーグっていうビール醸造所の名前から名づけられた酵母なのよ!
それから、凝集性(ぎょうしゅうせい)っていうのは、ビールの発酵が進むにつれて、酵母同士が集まってくっついていくかどうかを表しているんだよ。
エールは基本的に凝集性が低くて発酵が進んでもビール中にばらばらな状態で浮いているんだけど、これは、エールが発酵中に炭酸ガスを排出する時の推進力で勝手に浮いてきちゃうからなの。ちょっとカワイイと思うでしょ?で、ラガー酵母は、この凝集性が高いから細胞同士が集まって菌体凝集をつくってタンクの底に沈みやすいの。みんなでくっついちゃうのもカワイイ!ちなみに!学術的にこの2種類の酵母はね・・・・・・・・・・・・・・・・・
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・・・ゴメン、しょこたん。
話が高度すぎて、ワタシ、ツイテイケテナイヨ・・・・・・・・・ -
さあや、しっかりするんだ!
頭から煙が出てるぞ!!さっきのしょこたんの表を、ざっくりとしたイメージに置き換えるとこんな感じかな。
▼もーりーの解説による、エール酵母とラガー酵母の特徴
この表から分かるように、
エール酵母は、暖かい所でふわふわ~って浮きながら発酵して、複雑なアロマのビールを造る。 一方、ラガー酵母は、寒い所でじーっとしながら、スッキリした味のビールを造るんだ。
どう?
こうみると、エール酵母って陽気で楽しそうな奴でしょ -
おおー!
エール酵母が陽気っていうのが、何となく分かります!エールとラガーって、反対の性格をしていて面白いですね!
きっとこんな顔してるんだろうな~↑さあやにより、エール酵母とラガー酵母のイメージ図
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まぁ、これはかなり俺の主観も入っているけどね(笑)
こんな感じで、エールとラガーは、ビールを造る酵母の種類が違う。
けど、エール酵母とラガー酵母のどっちの方が優れているとかいうわけではなくて、 それぞれの性質によって、得意分野が決まっているんだよ。
エール酵母は香り成分を作るのが得意だから、
ラガーと違って、香りとか味わいがしっかりしたビールができるわけ。 -
なるほど!
エール酵母が香りをつくるのが得意だから、エールビールはいい香りがするんですね! -
そうそう。
でも、エール酵母だけじゃなくて、ホップも、モルトも、エールのアロマには欠かせない。
最初に少し触れたけど、エールの香りは、
1)エステル香
2)ホップ香
3)モルト香
この3つが組み合わさってできているんだ。
「エステル香」は、エール酵母がつくる、熟した果物のような甘い香り。
ひと口に「エステル香」と言っても、パイン系とかバナナ系とかいろいろあるんだけど、これは、酵母の種類によって、作るエステルが違うからなんだ。
次に「ホップ香」。ホップというと苦みづけのイメージが強いかもしれないけど、
よなよなエールに使っている「カスケードホップ」のように、柑橘系のフルーティな香りのするホップもあるんだよ。 ホップも種類によって、柑橘・フローラル・スパイシー・青草などなど様々な香りがある。「モルト香」は、キャラメル、ロースト(焙煎)、ハニーなどがある。
これもモルトの種類によるんだけど、詳しいことはおいおい説明するよ。
こんな風に、エステル香・ホップ香・モルト香の3つが合わさることで、
複雑なエールのアロマができているんだ。それぞれの香りをうまーく引き出しつつ、いかにしてバランスよくまとめるかが俺らブルワーの腕の見せ所!
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酵母とホップとモルトって、一見単純な組み合わせに思えるけど、
実際は、酵母もホップも種類がたくさんあるから、
その組み合わせは数えきれないほどあるの!
組み合わせを変えると、出来上がるビールが違ってくるのはもちろん、
使うタイミングや温度、使う量を変えるだけでも、味わいが変わってくるんだよ!
組み合わせも、使い方も無限!
つまり、ビール造りの創造性は無限なの!
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ほぉ~~~~
エールって奥が深いねぇ・・・ -
そう!エールの世界は広くて深い!
この世界には100種類以上のエールがあって、
しかも、ぜーーーんぶが違う香り・味わいのエールなの!さあやはそのうち何種類のエールを飲んだことがあるかな?
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100種類!?
しかも、全部違う香りと味がするの!?
すごいなー。
私が飲んだことあるのは・・・
たぶん10種類くらいだから、まだまだ修行が足りませんな!(笑)
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それだけじゃなくて、今、この瞬間に新しいエールが世界のどこかで生まれているかもしれないの!
新しいエールがどんな香りでどんな味わいなのか気になるし、
私も色んなエールを造りたい!
この前入ってきた新しいホップをどうやって使おうかな~?
もう考えただけで夜も眠れなくなっちゃう!
どう?エールって楽しそうでしょ?
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うん!
まだ飲んだことのないエールがあるって考えただけで、ワクワクするね!
でも、こんなにおいしいエールがたくさんあるのに、
日本ではほとんど知られていないのはちょっと残念ですね。
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そうだよな。
エールを知らない人は、人生の半分以上損しているよな! -
だから、私たちは「ビールに味を!人生に幸せを!」を合言葉に、
個性豊かなエールを専門に造って、エールを楽しむ文化が広めようとしているの。
おいしいエールを飲んでもらって、幸せだな~って感じてもらえたら、
私たちブルワーも嬉しいな♪