キリンビールが「タップ・マルシェ」に込めた想いとは?タップ・マルシェの産みの親に聞いてきた

キリンビールが「タップ・マルシェ」に込めた想いとは?タップ・マルシェの産みの親に聞いてきた

いっくん

こんにちは、よなよな編集部のいっくんです。 今日はキリンビールが開発したクラフトビールディスペンサー「タップ・マルシェ」の魅力に迫ります!

(この記事は2019年8月29日に更新されました)

こんにちは、ヤッホーブルーイング・よなよな編集部の「いっくん」です。

突然ですが、この前都内のとあるラーメン屋さんに行ったんですね。

そのお店の券売機を見て驚いたんですが、なんとそこ、よなよなエールを含むクラフトビール数種類を販売していたんです!
(「ラーメン屋なのにクラフトビールがこんなに…スゲェ!」とテンションがあがり、勢いで2種類頼んでしまって、ラーメンが来る頃にはお腹がタポタポになっていました。)

こんな風に「あれ、こんなところでもクラフトビール飲めるんだ!」なんて思うこと、最近多くないでしょうか?

実はそれ、キリンビールが展開している「Tap Marché(タップ・マルシェ)」のおかげかもしれません。

↑池袋の「アガリコ オリエンタルビストロ 池袋店」にて。写真右に映っているのが「Tap Marché(タップ・マルシェ)」

「“Marché(市場)”のように、個性豊かで多様なクラフトビールと多くのお客様が出会い、気軽に楽しんでいただく“場”を実現することで、新たなビール文化の創造を目指す」という思いから「Tap Marché(タップ・マルシェ)」と名付けられたこのビールディスペンサーは、

・事業開始から2週間で200店に導入
・1年間で約1,000店に導入
・2年間で約7,000店に導入

……と、トンデモないスピードで、街の色々なお店に浸透していったんです!

僕はこの事実を知ってからというもの、

「クラフトビールが気軽に飲めるようになったのは嬉しいけど、なんでこんなにすごいスピードで広がっていったんだろう?」
「タップ・マルシェを作った人ってどんな人なんだろう?」

そんな思いがふつふつと湧いてきたので、今回は!

キリンビール本社にやってきました!

キリンビール本社に伺って、タップ・マルシェにこめた思いや今後の展望など、いろんなお話を聞いてきました!

「タップ・マルシェって最近良く見かけるから気になってたんだよね!」というビールファンの方や、
「ウチの店でもクラフトビールを扱ってみたいなー」という飲食店オーナーの方は、ぜひご覧くださいね!

目次

Tap Marché(タップ・マルシェ)の魅力とは

今回は、立ち上げから今に至るまでずっとタップ・マルシェに携わっている、キリンビールの上田隆史さんにお話を伺ってきました!

ヤッホーブルーイング・いっくんと、キリンビール・上田隆史さん
上田隆史さん(写真右)
1994年、キリンビール株式会社に入社。営業やEC(通信販売)の経験を経て、2015年にタップ・マルシェのプロジェクトを発足。以来チームリーダーとして尽力してきた、タップ・マルシェの産みの親!

いっくん:今日はよろしくお願いします…早速なんですが、タップ・マルシェ、凄いですよね。

上田さん:ありがとうございます(笑)今は本当に多くの店舗さんに導入していただいていますね。

いっくん:タップ・マルシェのどんなところがお客様に支持されているのでしょうか?

上田さんタップ・マルシェの一番の売りは、様々なタイプのクラフトビールをお客様にご提供させていただけることです。そのために沢山のクラフトブルワリーさんにも参画いただいていますし、一品当たりの容量を3Lにすることで、店舗の方が扱いやすいようにしています。※1

スタートしたときは8種類だった銘柄が今では25銘柄※2になり、ますます「ビールを選ぶ楽しさ」をお届けできているような実感がありますね。

※1 通常、ビールの樽のサイズは7~20L等の容量が多いものが主流で、3Lはかなりコンパクト。お店では品質が良いビールを販売できるうえに、重たい樽を持ち運びしなくても良く、扱いやすい。
※2 2019年5月時点。

いっくん:どんなお店に導入されているんですか?

上田さん:とにかく扱いやすいので、今まで「クラフトビールを提供してみたいけど、大変そう…」となかなか導入に踏み切れなかった業態のお客様にも、よく取り扱っていただいてます。ブックカフェさん、インテリアショップさんなどですね。

今までは在庫管理や仕入れ先の問題など、導入にいろいろなハードルがあった店舗さんでも、本当に気軽に提供できるようになったので、いわゆる小洒落たところには結構、タップ・マルシェがあったりしますね。新しい商業施設の中をお洒落だな~と思ってバーッて見るとね、あるんですよ。嬉しくなっちゃいますよね。わが子を見つけたような感じです(笑)

Tap Marché(タップマルシェ)とその産みの親・上田隆史さん

いっくん:タップ・マルシェの開発にあたって意識されたことはありますか?

上田さん:今までのディスペンサーは機能的ですけれど、いわば無機質な厨房機器というイメージだったかと思います。今回は「マイディスペンサー」と思ってもらって、愛着をもっていただきたいと考え、家具と言ってもおかしくないようにデザイン性を重視しました。

いっくん:確かにスタイリッシュでかっこいいですよね!

上田さん:デザイン性もそうなんですが、機能のことも考えて作りました。

ビールディスペンサーを導入する時に一番の課題となるのは「スペース」なんですよね。どこの店舗さんも厨房スペースは余裕がなかったりして、そこのハードルが高いんです。その時考えたのが、どんな場所でも・お客様から見えても大丈夫なビールディスペンサーであれば、置く場所を選らばないんじゃないかということだったんです。

むしろ見せたくなるというか。
参考にしていたのは、エスプレッソマシンです。

いっくんエスプレッソマシンかー!なるほど!

上田さん:あれ、かっこいいじゃないですか。お客様から見ても「可愛い」「かっこいい」と思ってもらえて、お店の方も「これで提供したい」と思えるものであれば良いなと思って設計したんです。

Tap Marché(タップマルシェ)の産みの親・上田隆史さん

上田さん:他に、タップのまわりが黒くなっているのも工夫の一つ。ブラックボードと一緒で、ホワイトペンで書いたり消したり出来るんです。例えば「よなよなエール」とか「インドの青鬼」と名前を書いた横に、開栓した日にちも書けたり。「インドの青鬼 3/9~」のような感じですね。そうすると、効率的でもあるし。意外に考えてるでしょ?(笑)

いっくん:確かにそれは便利ですね!機能とデザイン、両方とも追求されてるんだなあ…。恐れ入りました!(笑)

Tap Marché(タップ・マルシェ)誕生秘話

いっくん:このタップ・マルシェ、誕生まで大変だったんじゃないですか?ビールだけじゃなく、ディスペンサーの開発までするとなると、かなり労力をかけられたのではと思うのですが。

上田さん大変でした!メチャクチャ大変でしたよ(笑)
ディスペンサーを作ること自体が目的じゃなかったのですが、クラフトビールって種類があった方が楽しいじゃないですか。ただ、当時ウチで一番小さいサイズの樽って7Lだったんです。7Lでもいくつか種類を揃えるとなると、やっぱり量が多いなと思って。

Tap Marché(タップマルシェ)とその産みの親・上田隆史さん

上田さん:そう考えた時に、3Lのペットボトルにビールを詰めるっていう方向性を固めて、そしたら3Lのペットボトルで出すディスペンサーがないから、ディスペンサーも作らなきゃという形で、もう会社の総力をあげて作ったという感じですね。

始まりは雑談、そして1枚の企画書から

いっくん:構想はいつぐらいから?

上田さん:構想は、2015年の1月くらいから…です。
私と、土屋(現キリンヨーロッパ社長)の二人の雑談から生まれました。こういうことしたら面白いよねって言って話したのを、A4の紙に私が手書きでぱっと書き起こして、ビジネスの構想はもう一枚の裏に書いて。

さすがにそれだと少し小さいのでA3にコピーして、その日の夕方に、当時のキリン企画部に「こういうことやらせてください!」と自主プレゼンをしに行ったら、ポンと承認をもらってスタートしたという形ですね。

Tap Marché(タップマルシェ)の産みの親・上田隆史さん
実際に見させていただいた当時の企画書!
Tap Marché(タップマルシェ)の企画書
内容はお見せ出来ませんが、ここからタップ・マルシェが始まったのだと思うと、思わず震えます。

いっくん:すごい…!キリンではそういったプレゼンがスタンダードなんですか?

上田さん:そんなことは全くないです(笑)誰もこんなことしないですよ!(笑)

飲食店での働きがいに繋がることも

いっくん:実際に導入された店舗さんからは、どのような評判なんでしょうか。

上田さん:「クラフトビールを飲みにたくさんのお客様が来てくれました!」というお声は多いですし、嬉しい言葉ですよね。

他には…それぞれの味や香りに違いがあるクラフトビールだからこそ、お客様にビールの特長を説明したり、自分のお店のお料理との相性をお伝えするうちに、お客様とのコミュニケーションが自然に増えていくというのは聞きますね。

で、そうなるとスタッフの方同士でも「このビールってどうやって説明すればいいんだっけ?」「このビールに合う料理は?」と、お互いに勉強会したりとかするらしいんですよ。

今、飲食業界ってなかなか人が集まらなかったり、新しい人がすぐに辞めてしまうって言われているじゃないですか。

そんな中で、自分がお客様にトークをすることでお客様を笑顔にできたとか、仲間内で色々考えた提案がお客様の満足度につながったりとか…それがお店でのやりがいに繋がって、いわゆる働き方改革などの、今の世の中の社会課題解決にも繋がってるよっていうのは、飲食店の経営をされている方からよく仰っていただけて、すごく嬉しいですね。

Tap Marché(タップマルシェ)の産みの親・上田隆史さん

いっくん:確かに、お客さんからよく聞かれますからね。このビールとこのビールって、何が違うんですか?みたいな。

上田さん:そうそう。そこがまず、コミュニケーションのきっかけになっていてね…
たとえば、これはこの前お客様に聞いた話なんですが、お店のスタッフの中でも人見知りな子に「まずクラフトビールのことをお客さまに説明してごらん」っていうと、それがきっかけでお客様と他のお話もできるようになった…ということもあったらしくて。

そのあたりは全然もう、我々も最初から想定してたわけじゃなくて…そこまで考えられていたら本当に天才なんだけど…(笑)

いっくん:(笑)

上田さん:そういったお声を聞いて、ああそういう効用もあるんだ、と思ってそれは良かったなと思ってますね。

Tap Marché(タップ・マルシェ)が目指す未来

いっくん:では最後に…そもそものお話なんですが、キリンビールというすごく大きなビール会社さんが、タップ・マルシェをはじめとするクラフトビール事業に取り組む理由を伺っても良いでしょうか。

上田さん:その答えは、すごくシンプルなんです。
若い世代のビール離れ、アルコール離れってよく言われているじゃないですか。そんな中でも元気なカテゴリー、ビールでいえばクラフトビールに注力していくっていうのは実は極めてシンプルで。

Tap Marché(タップマルシェ)の産みの親・上田隆史さん

上田さん:私の原体験としてあるのは、昔グループインタビューしたときに若い子が来て、その子に「ビール飲む?」って聞いたら「飲まない」って言うんですよね。「けど、クラフトは飲むよ」って。

「いや、ビールじゃん」って思うんですけど、彼ら彼女らにとっては「ビール」と「クラフトビール」って全く別物で。ビールはその、いわゆるおじさんたちが会社帰りにジョッキで飲むものだけど、クラフトは「仲間内で楽しくやる」「自分のために飲む」もの。別のカテゴリーのものとして見えてるんですね。

彼らにどれだけ「ビール美味しいです!」って言っても絶対に伝わらないな、と思って。
であればそこに対して適切な伝え方をしないといけない、という想いから、タップ・マルシェを含むクラフトビール事業に力を入れているんです。

そうやって、クラフトビールをきっかけにビールそのものを好きになってくれたら、普段気軽に飲めるビールにも「これって飲んでみると実はこんなに美味しいんだ」って想いを向けてくれるかなと考えています。

いっくんタップ・マルシェをきっかけにクラフトビールが飲めるシーンをもっともっと増やしていって、クラフトビール文化を盛り上げ、更にはそれをきっかけにビール文化全体を盛り上げていきたい…という形でしょうか。

上田さん:その通りです。その点では、御社にも凄く感謝しているんですよ!
「ビールで世界を変えたい」とか「ビールで人生を楽しくしたいんだ」って、本来我々が言わなきゃいけない言葉じゃん!っていうことをね、みんな凄くイキイキと話されていて。

ビール屋の原点というか…「ビールって楽しいものだよね」っていうところを、もう一回思い返させてくれたのは、やっぱり御社のおかげだと思っています。

Tap Marché(タップマルシェ)の産みの親・上田隆史さん

いっくん:これからも一緒にクラフトビールやビールそのものを、もっと盛り上げていきましょう!

上田さん:こちらこそ!これからもよろしくお願いします。

さいごに

ヤッホーブルーイング・いっくんと、キリンビール・上田隆史さん

キリンビールが展開している「タップ・マルシェ」についてお伝えしましたが、いかがでしたでしょうか。

「気軽にクラフトビールを楽しんでもらえるようにしたい」
「クラフトビールをきっかけに、ビールそのものを好きになってもらいたい」
そんな熱い想いが伝わっていましたら幸いです。

私たちヤッホーブルーイングも、日本のクラフトビールシーンをもっと盛り上げていくべく頑張っていきますので、これからもよろしくお願いいたします!
ヤッホーブルーイングのクラフトビールが飲めるお店を紹介する連載企画「よなよな飲める店」で、今後タップ・マルシェでよなよなエールやインドの青鬼などのビールを提供してくださっている店舗さんも紹介していく予定ですのでお楽しみに!

「このお店、紹介して!」というお声も大募集中です。
yonayonaale@yonasato.comまで、お気軽にご連絡下さい!
メールの件名に【よなよな飲める店】と入れていただけると嬉しいです。

それでは皆さん、良いクラフトビールライフを~!

(おわり)

この記事を書いた人
いっくん

日本バーベキュー協会公認・バーベキューインストラクター(初級)。 サウナと水風呂と外遊びが好きな「よなよなアウトドア部」部長です。

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