出荷前の最終関門!「テイスティング」にせまる
みなさんこんばんは!休日はDIYをしているブルワーの「がみた」です。 机や椅子を自分で造るの、たのしいですよ~。
「醸造所日誌」は、製造現場で働く僕たちが、醸造所の知られざる日常を紹介するコンテンツです!
第2回では、美味しいビールをお届けするために不可欠な「テイスティング」の様子をお届けします。
それすなわち香味検査
一言で「テイスティング」というと、ビールの試飲かな?味利きをするのかな?と思う方もおられるかと思います。大きく捉えれば同じですが、今日お伝えしたいのは「香味検査」という意味でのテイスティングです。いわば、出荷前のビールの最終関門ですね。
よなよなの里では「トライアングルテスト」という手法で香味検査をしています。同じビールの種類で、直近に充填されたビール(=最新ロット)を2本、その前に充填されたビール(=1つ前のロット)を1本、計3本を用意します。どのビールが1つ前のロットなのかは誰にもわからないようにした状態で、5~6人で集まってテイスティングを行い、出荷の最終判定をするんです。
大事なのは「色」「香り」「味」
テイスティングではそれぞれの「色」「香り」「味」に着目します。
まずは「色」!
光に透かしながら、「明るいゴールド」「クリアで透き通っている」「ヘイジー(かすんでいる)」といった表現をします。たとえば、よなよなエールは「ディープゴールド」や「琥珀色」と言われることが多いです。色をあらわす単語は意外とたくさんあるので、自分のイメージ通りの色を伝えられるよう、調べてみてくださいね!
次に「香り」!
鼻をぐっと近づけて、身近なものに例えて表現します。例えば、レモン・シトラス・グレープフルーツ・オニオン……。インドの青鬼の香りは、よく「グレープフルーツ」「グラッシー(力強い草のような香り)」と表現されているんですよ!
オフフレーバー(望ましくない香り)がないかも同時に確認します。ずっと香りを嗅いでよくわからなくなってきたら、自分の服の香りを嗅ぎます。そうすると鼻がリセットされて香りがわかりやすくなるんです。ぜひやってみてください。
最後に「味」!
甘み・苦味・酸味・渋みの強さや、コク・ボディ感、炭酸ガスの強さなどが、ビールのコンセプト通りであるかをチェックします。「-」「+」「++」「+++」など、自分の舌が感じた通りにシートに転記してきます。香りのとき同様、異常な香味がないかどうかの判断も同時に行っていますよ。
おいしいビールだけをみなさまの元へ
3つのビールをテイスティングしたら、どれがひとつ前のロットだと思うかをテイスティングシートに記入し、かつそれぞれの出荷可否を判断します。75%以上の人がロットを識別でき、かつ出荷不可の判断をした場合には、該当ロットは出荷しません。ビールの化学的検査も行っていますが、最終的な出荷の可否は人の感覚で判断しているんです。
テイスティング後は、各々のコメントを共有し、意見交換を行っています。人の意見を聞きながら、もう一度色を確認してみたり、香りを嗅いでみたり、みんなで切磋琢磨しています。
香りの表現は人それぞれで、たまーに周りの人には理解できないような表現が出てくることもあります。例えば、「おばあちゃんちのにおい」。……わかりそうでわからない絶妙感。これも醸造所の日常です。
これからもこんな感じで、ゆるく醸造所の日常をお届けしていきます。
醸造所のことで気になることがありましたら、ぜひリクエストをお送りください。
ではまた次回、お会いしましょう!がみたでした。
おまけ
車がないと生活できない場所にある醸造所なので、スタッフはだいたいみんな車移動。テイスティングをする際には車のカギを預かっています。カギには栓抜きがついていることが多く、いろいろなブルワリーの栓抜きが見られて楽しいですよ。