ビアジャッジレポート~ヨーロピアンビアスター編~

ビアジャッジレポート~ヨーロピアンビアスター編~

もーりー

こんにちは、もーりーです。10月に開催されたビール品評会「ヨーロピアンビアスター(EBS)」に、ビアジャッジとして参加しました。今日は実際の様子をレポート形式でご紹介します。

ビアジャッジって何?

世界中でおこなわれている、数々のビール品評会(Beer Competition)。
これらの品評会において、出品ビールを厳正に評価している審査員をビアジャッジ(Beer Judge)と呼びます。また、「ビールの審査をする知識と官能評価能力がある」と認められた人の資格呼称でもあります。

ビアジャッジの資格を持っていて実績があれば、様々な品評会に参加することができます。いろんなビールをテイスティングできて、多くのブルワーと交流できる、とても良い機会なんですよ。

ヨーロピアンビアスター(EBS)とは

ビアジャッジたち

ヨーロピアンビアスター(以下EBS)は、Private Brauereienが2004年から年に一度開催しているビール品評会。カテゴリー(ビアスタイル)ごとに、金・銀・銅賞が選ばれます。今年は47か国から2,483ビールのエントリーがあり、67のカテゴリーで審査をおこないました。(受賞ビールリストはこちら)

今回のEBSは、28か国から145名のビアジャッジが参加しました。初参加のジャッジが少なく、「いつもの顔ぶれ」なのがEBSの特徴です。私が参加するのも2年ぶり、通算3回目ですしね。WBC(ワールドビアカップ)ほど規模も大きくないので、比較的リラックスして参加できます。

ビールの審査方法って?

EBSの審査はオリンピック式でおこなわれます。

各カテゴリーごとに、最大4~5ラウンドある予選で勝ち残った銘柄が決勝に進み、決勝で金・銀・銅賞を決定します。当然のことながら、自分が所属するブルワリーが出したビールのジャッジには携われません。

ちなみにジャッジ中は写真撮影・SNS厳禁。この写真はフライト後にリラックスしている写真です。

審査は、基本的にビアジャッジ10名1グループでおこないます。予選では5名1グループになることも。

1ラウンドごとに10前後の銘柄をテイスティングし、次のラウンドに進めるビールを3~5銘柄決定します。初戦ではジャッジシートへの得点記入がありますが、2回戦以降はジャッジシートは無し。手元のメモをもとにグループで議論して、ビールの評価を決めているんですよ。

準決勝や決勝はハイレベルな戦い。
ほんのわずかなオフフレーバー*と全体のバランスで優劣が決まるのです。

ちなみに、審査は朝9時~夜19時まで、計2日間おこなわれます。ビアジャッジ1人あたり最大216銘柄をテイスティングできることになります。ご想像の通り、かなりタフな審査です。

*オフフレーバー:そのビアスタイルにあってはならないフレーバーのこと。代表的なものにダイアセチル(強いバター様・チーズ様の匂い)がある。

今回のEBSで印象に残ったのは、Pale aleやIPAの初戦、ボヘミアンピルスやボヘミアンダークの決勝でした。

IPAはHOP香をしっかり出しつつ、苦みと渋みを出さない事が(当たり前だけど)ポイントだなと。特にドイツ人はクリーンじゃない苦味にとても厳しいです。美味しいジャーマンピルスは後苦味がキレイで心地よいので、そういう感覚でIPAをつくると良いのだろうなと感じました。

また、チェコの有名なおじさんブルワー2名と一緒だったボヘミアンの決勝はとても勉強になりました。インターナショナルジャッジ**は「クリーンでバランスが良いもの」、チェコ人の二人は「少しモルティでほんのりミルキーなもの」と意見が分かれたのですが、民主的な多数決により、最終的には「クリーンでバランスが良いもの」が金賞に。

個人的には「地元の人が推す物=そのビアスタイル」だと思っていましたが、やはりジャッジで評価されるのは「①そのビアスタイルを的確に表現していて②クリーンでバランスが良いもの」ということですね。

**インターナショナルジャッジ:世界各国のビール品評会に参加しており、ビアジャッジの中でも特に「実績がある」と認められたビアジャッジ。認定制度があるわけではない。インターナショナルジャッジの推薦でなることが多い。

EBS最終日は醸造所遠足へ

ジャッジの最終日には遠足(エクスカーション)があり、組織委員のおススメの醸造所をみんなで見学します。

今年の訪問先はシュバルツブロイ。
伝統的な丸型の仕込み釜をステンレスで再現した、世界で唯一のブルワリーです。

製麦芽工場も自前で持っており(ドイツで12醸造所ある)、ビールの品質はすこぶる高かったです。心地の良いモルティとは何か?を感じられること間違いなし。こうした地方の中規模醸造所が美味しいビールを造っているのは、ドイツの特徴のひとつと言えますね。

まとめ

今回は、普段はベールに包まれている(?)ビアジャッジの様子をお届けしました。
ジャッジ中の雰囲気がすこしでも伝わったなら幸いです。

ジャッジに参加しているメンバーには有名醸造所の社長や醸造長がわんさかおり、技術的な視点や経営の視点、そして世界中のクラフトビールの最新状況にアクセス出来るので、とてもありがたいことです。この環境は本当に希少だと思うので、あらためて続けていきたいなと思いました。

これからのビールづくりに還元していきます。
今後もヤッホーブルーイングをよろしくお願いします!

おまけ

ちなみに、上述のように朝9時~夜19時まで行われるタフな審査会にも関わらず、毎晩打ち上げ(と称した飲み会)が23時まで開催されます。

ドイツで飲むドイツの大手ビールは、オフフレーバーが少なくて美味しいです。
一緒に食べたのはバーバリアン料理。IPAよりもヘレスが合いました。

美味しかったなぁ……。

(おわり)

この記事を書いた人
もーりー

ふだんはビールをつくっている。 家庭菜園が趣味。娘がかわいくて仕方がない子煩悩な醸造家。

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