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【バレルフカミダス】前編:バレルフカミダスが繋ぐ縁

【バレルフカミダス】前編:バレルフカミダスが繋ぐ縁

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ウイスキーづくりに用いた木樽(バレル)でビールを熟成させ、複雑で奥行きのある味わいをつくり出す「バレルフカミダス」シリーズ。「バレルフカミダス バーレイワイン」は、半年熟成させたバーレイワインを、キリンディスティラリー(株)富士御殿場蒸溜所から譲っていただいたバレルに入れて、さらに3ヶ月ほど樽熟成させたビールです。
ビールとウイスキーはまったく違う酒類ですが、実は似ている部分もたくさん!今回は「バレルフカミダス バーレイワイン」の醸造を担当しているブルワー”がみた”と、キリンディスティラリー(株)富士御殿場蒸溜所でブレンダーを務める”タケ”(樋浦竹彦さん)に、造り手としての想いやこだわりを自由に語ってもらいました。

多種多様の味わいに魅せられて

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がみた:2005年以降ずっとブレンダーとしてご活躍されているそうですが、最初にウイスキーを好きになったきっかけは?

タケ:学生の頃から通っていたバーで、初めてウイスキーを飲んだときですね。そこで飲んだウイスキーが、スモーキーで、ピート香(※注1)の強いものだったんです。「なんだこれ!?」って衝撃を受けて(笑)。

がみた:いきなりですね(笑)

タケ:それから一気に好きになりました。ただ、個性的なものばかり飲んでいると疲れてしまうので、比較的やわらかい風味のものも好むようになりましたね。時間が経つとまたスモーキーなものが飲みたくなって、でもやっぱりブレンデッドの落ち着いた感じに惹かれて……。好みにも周期があるのか、その時々で飲みたい銘柄が変わるんです。

がみた:あー、わかります!僕がビールに興味を持ったきっかけも、ホップの香りと苦味が際立っているIPA(※注2)でした。でもIPAばかり飲んでいると疲れてしまって……。ライトボディのビールに興味が移ったり、またIPAに振り戻っていったりして。

タケ:酒好きあるあるなのかも?

がみた:そうですね。季節によってお酒の楽しみ方が変わるのも「あるある」ですかね?

タケ:ウイスキーだと、夏はハイボールやロックで楽しみたいですし、冬はお湯割りやストレートでゆっくり味わいたくなります。飲みたくなる種類も変わりますしね。夏はさわやかなハイランド(※注3)やスペイサイド(※注4)、冬はしっかりした味わいのシェリー樽(※注5)を飲みたい。ビールも、季節によってビアスタイルを選びますよね。

がみた:夏には爽やかでゴクゴク飲めるようなIPAやピルスナー、冬にはおだやかなペールエールや、すこし重ためでハイアルコールのものを飲みたくなりますね。飲む日の気候にもちょっと左右されたり。

タケ:ああ!僕、仕事の研修でアメリカに行ったときに飲んだバドワイザー(※注6)が、すごく美味しかったのを覚えています。アメリカで造られるビールは、やっぱりアメリカの気候に合っているんだなって。ウイスキーもそうですが、ビールも気候や風土に合わせて造られているのかな、と思いました。

※注1:燻製のような香ばしい香りを指す。
※注2:インディア・ペールエールの略。ホップによる強烈な苦味が特長のビアスタイル(ビールの種類)。
※注3:ハイランドモルト・ウイスキーの略。ハイランド地方で造られるシングルモルトウイスキー。香りだちが良く、豊かなコクを持っている。
※注4:スペイサイドモルト・ウイスキーの略。スペイサイド地方で造られるシングルモルトウイスキー。華やかな香り、甘くなめらかでリッチな味わいが特徴。
※注5:シェリー樽で熟成させたウイスキーのこと。芳醇でフルボディ。
※注6:1876年にアメリカで誕生したビール。ビアスタイルはアメリカンスタイルラガー。

今まで一度も同じ味わいのビールができたことはない

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がみた:そういった点で言うと、「キリンウイスキー 富士山麓」は、すごく親しみやすいウイスキーですよね。やっぱり日本の風土に合わせてブレンドしておられるんですか?

タケ:ありがとうございます。これまでの富士山麓シリーズの流れを汲みながら、今のお客様の好みや飲み方を反映しつつブレンドするように心がけています。たとえば、今の日本ではハイボールが流行っていますよね。ウイスキーに木樽のキャラクターを強く反映しすぎると、ハイボールやロックで飲むときに、木樽特有の苦味が目立ってしまうんです。そういうことがないよう、割ったときも香り高く「バランスが良い味わい」になるようにブレンドしています。

がみた:なるほど、誰でも親しみやすい味わいを大事にしているんですね。ちなみに、マチュレーション・ピーク(※注7)の見極めはどのように行っているんですか?

タケ:マスターブレンダーと一緒に、テイスティングして決めています。ウイスキーの熟成には、原酒そのものの香味変化と、木樽からの香味抽出とが関係しています。木樽からの香味抽出は温度が関係しているので、温度が高ければ抽出は早く進むのですが、原酒そのものがまろやかになるまではある程度の時間が必要なのです。木樽由来の香味抽出は早く進んでいても、原酒自体はまだまだ若い・辛い、ということもあります。木樽の香味・パワーが原酒を上回ってしまうと、両者の香味バランスが取れず、美味しいウイスキーになりません。

がみた:そうなると、払い出し(※注8)のタイミングを決めるのも大変ですね……。

タケ:そうなんですよ……。マチュレーション・ピークを予測して「この日にこれとこれを払い出してください」と指示を出すのですが、払い出してから飲んだときに「想像していた香味と若干違うかな」と感じることはあります。シングルカスク(※注9)のときは特に気を遣いますね。
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がみた:バレルフカミダスでも似たようなことがあります。先週の香味はすごくよかったのに、今週の香味チェックでは渋みが出てきちゃったり。なるべく強いキャラクターを持つビール(バーレイワイン)を原酒にしていても、やっぱり木樽のキャラクターのほうが強いので、木樽由来の熟成に香味が大きく左右されてしまうんですよ。

タケ:そういうところは、ワインとも似ていますよね。一期一会というか。

がみた:「バレルフカミダス」シリーズは数年前から続けていますが、今まで一度も同じ味わいのビールができたことはないんじゃないかと思います。毎回異なる味わいを楽しんでいただきたい、という気持ちも強いです。

※注7:ウイスキーの熟成期間中、味・香りともに最もバランスのよい状態のこと。
※注8:熟成したウイスキーを樽から出すこと。
※注9:ひとつの樽から出したまま、他のどの樽とも混ぜないウイスキーのこと。

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