区界(くざかい)で飲む~第11回 林試の森公園の謎の区界を追え / 目黒区・品川区~ | よなよなエール定期宅配 - よなよなの里

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区界(くざかい)で飲む~第11回 林試の森公園の謎の区界を追え / 目黒区・品川区~2018.08.15

区界。それは東京を23区に分ける、目に見えない線。

区と区の界には、目に見えない線がある。
人と人の界にも、目に見えない壁がある。
界を越えて心をつなげ、乾杯をしよう。

 

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■大きな壁にぶつかった瞬間に笑みがこぼれる人

 

こんばんは。よなよなの里、衣装・小道具係みんもです。日々の生活や、仕事などで壁にぶつかったときに、皆さんはどうやってそれを乗り越えて次に進んでいますか?私はまずは壁にぶつかったら、よろけ、そして、倒れこんだところで無駄に足をくじき、さらに小さなスコップで自ら地面に穴を掘って潜って、地面の中からそっと外の様子をうかがおうとした瞬間に、穴が崩れて動けなくなるタイプです。

 

しかし、世の中には高ければ高い壁の方が登った時気持ちいいもんだな!と壁にぶつかったら、登っていくタイプの人が存在します。区と区の境目で誰かと乾杯して、ちょっとだけその人と仲良くなりたいこの連載「区界で飲む」。今回は壁にぶち当たった瞬間に壁を駆け上ったヤッホーブルーイング営業のみやちゃんとの区界について、書きたいと思います。

 

営業担当のみやちゃんは東京生まれ東京育ち

 

みやちゃんはヤッホーブルーイングで東京以外のエリアを担当する営業マンとして活躍しています。よなよなエールが日本全国で飲めるようになるのは、彼の腕にかかっているといっても過言でありません。まっすぐな目と性格をしていますが「東京生まれ、HIP HOP育ち、悪そうなヤツはだいたい友達」という彼の意外な一面を知ると、「人は見かけによらない」という言葉が身に染みます。まっすぐすぎるがゆえに、たまにほふく前進をしたりすることもありますが、とてもいいやつです。

 

「いつか一緒に区界に行こう。」とお互いに声をかけあって5年。私もみやちゃんもアラフォー世代になりました。一通りの社会人生活を経験して、「最近どうよ?」「いやぁ、どうよっていってもさ」という掛け合いを続ける中で、年相応の言葉にならない悩みや不安を持ち、そしてお互い、自分の人生の中で立ち止まっている最中でもありました。

 

目黒駅は品川区にある

 

 

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■目黒駅から出発。目黒駅は品川区にあります。

 

行人坂
■目黒駅前から行人坂へ。目黒区と品川区の区界にたどり着く。

 

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■行人坂の途中にある目黒川架橋勢至菩薩石像前でお参り。

 

行人坂は、江戸三大大火のうちの一つ、明和の大火(1772年)の火元としても有名。目黒駅前から出火して、麻布、日本橋、そして、駒込、根岸まで燃え広がったというから、どれだけの火災だったかと想像すると恐ろしくなります。

 

 

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■目黒川にかかる太鼓橋を渡る。

 

行人坂を下ると目黒川にさしかかります。そこにかかっているのがこの太鼓橋。1764年から6年の歳月をかけて作られた、江戸でも珍しいアーチ形の石橋だったそうです。雪の日などはつるつる滑って大変だったのだそう。1920年の豪雨で流されるまでは、目黒の欧風文化第一号といわれていたそうですが、今は、なんの変哲もない橋へと形をかえてしまい、昔の名前だけが残っています。

 

この太鼓橋は、安藤広重の連作浮世絵『名所江戸百景』にも登場しています。その浮世絵を見ると、橋のたもとには茶屋が見受けられますが、現在この橋のたもとには「目黒雅叙園」があります。以前と同じように、同じように飲食を楽しむ場所。

 

土地にはその土地になじむ使われ方、その土地が持っている活かされ方があるのだなと思いました。

 

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■長いこと営業畑を歩いているみやちゃんの全身から営業がにじみ出ています。

 

みやちゃんは、歩くスピードがとても速い。荷物はできるだけコンパクトで、汗を拭くためのハンカチは常に常備。生まれ持った品の良さもあいまって、背筋をシャキッと伸ばして歩くの姿が彼らしさの象徴でした。このところ「区界を考えるようになってから、足元の印や、標識が気になって足元をみることが増えたんだ」と、今回は、視線を足元に落としてゆっくりと歩いてくれました。

 

今、アラフォーになり社会人人生の折り返しを迎え、ふと自分の生き方について考えて、立ち止まってしまった、私とみやちゃん。たまにはらしくないとことをして、自分を見つめなおすことも必要なのかもしれません。

 

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■目線を下げて区界の印を探しながら歩くと、普段は気付かない小さな花をみつけるときもある。

 

炎天下の中、目黒区と品川区の境界を歩く今回の区界は、ときおり二人を無言にさせたり、もしくは「暑い」という言葉のみを連呼したくなるという衝動をもたらしました。

 

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■目黒通りでは道路標示の看板を取り付け作業中。

 

おなじみの道路標識。隣に並んでみると、実際のサイズはとっても大きかったことを知りました。二人で歓声をあげて思わず記念写真をパシャリ。今まで、道路標識のサインが大きいか小さいかなんて考えたことがありませんでした。

 

知らず知らずのうちに、わかった気になっていて「これは、こういうものだ。」「この人は、こういう人だ。」と思い込んでしまうことってあるのかもしれないなと思いました。思い込みを捨てた時、新たな感動や、次の一歩が踏み出せるかもしれない。

 

寝ぐせ一つつけず、しゃっきり背筋を伸ばして前をむいて営業をし続けてきたみやちゃん。彼には彼の活かされ方がある。それは年月を経ても続く土地に備わった活かされ方のように。

 

ガードレールの途切れで区界がわかる場所

 


■こちらのコンフォート・ビラ下目黒は建物の中を区界が通っています。

 

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■壁側には品川区が境界を主張する境界標でドーンと自己主張。

 

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■目黒区からのガードレールが途切れたところ!区界はここだ!

 

区界をみつけるポイントの一つとなるガードレール。こんなにわかりやすく切れていて、区界がはっきりとわかりました。さて、今回の『区界で飲む』の最終目的地はもう目の前です。

 

気になったら眠れなくなる区界

 

 

東急目黒線・都営三田線・東京メトロ南北線「武蔵小山」徒歩10分の住宅地に突如現れる「林試の森公園」という公園をご存知でしょうか? かつての林野庁林業試験場跡地を公園として整備した都立公園です。その敷地面積は120,762平米。東京ドームにすると2.5個分で、林業試験場当時の樹木がそのまま残されており、ケヤキ、クスノキ、プラタナス、ポプラ、スズカケノキなどの巨木もあるとなると、巨木好きにもたまらない公園です。

 

今回の区界の最終目的は、この林試の森公園内で不自然に折れ曲がっている区界を、実際に見てみたいというものでした。なんで都立の公園の中心を不自然な形で区界が通っているのだろうか?この区界には何か理由があるのではないだろうか?と、気になって眠れない日が続いていました。

 

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■広大な公園の為、入り口が12個もある。今回は「もちのき門」から公園に入ります。

 

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■東京23区の景色だとは思えません。ここは都会のオアシス。

 

「林試の森公園」という名前だけ聞くと、何か学術の匂いがしてきますが、その名の通り、この公園にある広大な森では自然についてより深く知ることができるイベントが毎月企画されています。

 

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■カメものどかに甲羅干し。

 

カメは、甲羅干しをしないと甲羅に藻がはえて生きづらくなってしまいます。私とみやちゃんの区界は、亀にとっての甲羅干しのようなものなのかもしれない。たまにはのんびり太陽の光を浴びながら、自分について考えてみるという。

 

林試の森公園内の謎の区界

 

林試の公園区界01
■気になって眠れなかった区界ポイント。なにもなかった。本当に何も。(東側から写す)

 

林試の森公園内を不自然に折れ曲がるせせらぎ橋近くの区界ポイントに到着。GPSをたよりに場所を特定してみましたが、そこにあるのは森。目印になるようなものや、特徴的な高低差もみあたりません。何もないところなのに、なぜ不自然な区界が生まれたのか?

 

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■疑惑の区界折れ曲がりポイントを反対側から。(西側から写す)

 

googleの地図にはのっていない小道がありましたが、この小道はうねっていて、区界の直線的な線とはどうも違うようです。この小道は区界ができた後に、地形にあわせて作られたと推測されます。

 

区界を指し示す目印が何もないということで、その後の展開も考えられず、今回の区界ロケはここで終了にしようかと、私はみやちゃんによなよなエールを飲むように勧めました。この企画では区と区をまたいで乾杯しないと終わらないのですから。

 

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■とりあえず乾杯を促され、釈然としない表情のみやちゃん。

 

「今回の区界は、結論はわかりませんでした、でいいかもね。」と、高い壁にぶつかったときに、そのまま倒れてしまうタイプの私。「、、、。」無言のミヤちゃん

 

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■納得いっていないということがありありとわかる表情。

 

しかし、営業畑を歩いてきたみやちゃん。納得はいっていなくても「乾杯しましょう!カメラ目線お願いします!」と私から乾杯を促されてカメラを向けられたとたん、しっかりと笑顔を作ってくれました。

 

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■カメラ目線で張り付いた笑顔。

 

壁にぶち当たって事実をつかむ

 

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■もやもやを抑えきれず、無言でビールを飲む。

 

撮影も終わり、今回の区界は一通り終了。もやもやした気持ちをかみしめ、理由のわからない区界をみながら、よなよなエールを飲み始めました。「わかりませんでした。」で終わりにしていいのか?絶対に何か理由があるはずだ。数分後、その気持ちを抑えきれなくなったみやちゃんは、ある行動にでました。

 

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■「どこに聞けばいいのだろう?」みやちゃんは区役所の広報課に電話をかけました。

 

わからないことがあったら人に聞く。わかったふりをしてはいけない。みやちゃんは携帯を取り出して、目黒区の広報課に電話をかけました。もやもやをそのままにはしておけない!それがみやちゃん。

 

「今、林試の森公園にいるんですけれども、区界が不思議でその理由を知りたいのですが。」という電話に、目黒区の広報課の方は戸惑いながらも、親切に「林試の森公園内にある管理事務所に聞いてください。」という、非常に全うで正しい回答をくれました。そりゃそうだ。

 

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■林試の森公園管理事務所の中村さん。

 

林試の森公園管理事務所は、乾杯をしたせせらぎ橋の目と鼻の先にありました。平日の昼間に、ビールが注がれているTシャツを着た二人組が「公園内の区界について知りたいんですけれども?」と唐突に伺ったのにもかかわらず、親切に対応してくださったのが、林試の森公園管理事務所の中村さん。東京都公園協会から出版されている、「林試の森公園」という本を紹介してくれました。東京都にある公園それぞれが1冊の本になってまとまっているんだそう。

 

そして中村さんが案内してくださったのが、管理事務所の中にある展示室。公園の中のことを知るために必要な書籍や展示がありました。そして、その展示をみていて、あることに気づきました!

 

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■林試の森公園管理事務所内の展示室

 

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■区界の秘密が解き明かされる証拠発見。

 

明治33年の林試の森公園の前の地図をみてその謎が解明しました。現在の公園内にある区界は、河合八右エ門さんの土地と完全に一致しているではありませんか!

 

さらに携帯アプリ「東京時層地図」で、約140年前の地図をみると、この土地は高低差があり斜面だったよう。公園内にはやたらと階段があるなと思っていたのですが、このエリア、明治初期は茶畑だったようです。

 

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■すっきりとした表情のみやちゃん

 

区界の理由がわからないという、壁にぶつかったとき、抑えきれない衝動に駆られて電話をしてくれたことで、区界の謎の糸口をひっぱってきてくれたみやちゃん。みやちゃんのジャンプがないと私は一生、林試の森公園の区界は謎だらけだ。と思って過ごすところでした。本当にありがとうございます。

 

人は人生の中で何度か立ち止まる瞬間はあるけれども、持って生まれたまっすぐな姿勢や、その人らしさというものは決してかわらないものだと思います。今後も、たまには足元みて一緒に歩いてくれたらいいなぁとしみじみと思いました。

 

区界で一緒に飲んでくれる人募集

 

ヤッホーブルーイングのスタッフでも、よなよなの里のお客様でも誰でもOK!あなたのおススメの区界で、一緒に乾杯してくれる人を募集しています。我こそはという方。よなよなの里の衣装・小道具係みんも宛にご連絡ください。お待ちしています。

 

衣装・小道具係 みんも

 

区界(区界)で飲む

第1回 都内で一番の急坂
第2回 東京のど真ん中で手漕ぎボートにのる
第3回 よなよなエールの超宴in神宮外苑軟
第4回 呑川(のみがわ)で飲めなかった
第5回 境界協会・主宰 小林政能さんと歩くプロの区界
第6回  心ときめく坂のY字路
第7回 谷中銀座の片隅でメンチカツと飲む
第8回 健康をはかるタニタさんと歩く、冷えと疲労の区界ウォーキング
第9回 「君の名は。」のときめきを求めて若人を連れまわす
第10回 中目黒の激坂を走り切る

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