区界で飲む~第7回 谷中銀座の片隅でメンチカツと飲む / 北区・荒川区・文京区・台東区~ | よなよなエール定期宅配 - よなよなの里

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区界で飲む~第7回 谷中銀座の片隅でメンチカツと飲む / 北区・荒川区・文京区・台東区~2018.01.09

区界。それは東京を23区に分ける、目に見えない線。

区と区の界には、目に見えない線がある。
人と人の界にも、目に見えない壁がある。
界を越えて心をつなげ、乾杯をしよう。

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こんばんは。よなよなの里、衣装・小道具係みんもです。

今回の区界に一緒に行ったのは、ヤッホーブルーイングで営業を担当するゲン。この区界で飲むは2013年に第1シーズンの連載があったのですが、その回の執筆を担当していたのが彼なのです(私はカメラマンでした)。それから5年。彼も私もずいぶんと脂がのった年齢となってきました。

 

いつかまた、一緒に区界に行って、この5年を振り返り、良かったことも悪かったこともひっくるめて杯を重ねたい。そう思い、12月始めのある寒い日に、声をかけました。「ゲン、谷中銀座の間は区界なんだって。谷中銀座にある夕やけだんだん(という階段)の途中に区界があるからそこで飲もうよ。」(←実は調べ間違えていて、だんだんの途中に区界はなかった。)ゲンは何も疑わずついてきてくれました。5年分の信頼関係のたまものです。

 

あまりにも寒かったので、いつもならば、よなよなエールの缶を保冷剤で冷やしてからリュックに詰めるですが、今回はそのまま。まぁ、気を使う相手でもないし、ゲンにも「自然体でいいからね」とお願いして、カメラを向けたらこのポーズ。

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■自然体だとカメラすらみてくれない。

 
この5年間良いことも悪いこともお互い無言で耐えた仕事仲間は、もはや空気のような存在。空気って、意識して吸い始めると、どのタイミングで息を吸ってよいか、息を吐いてよいかわからなくなりますよね。私は過呼吸になりかけたことがあります。今回、改めて意識して自然体をお願いしたとたん、結局どうしてよいかわからなくなり、今までの区界のような笑顔あふれる写真は一つもありませんが、決して喧嘩をしていたわけではなく、楽しくなかったわけでもなく、不自然な表情が自然だったと思っていただければ幸いです。

 

何もないところに立つ謎の石碑

 
まず、ゲンと向かったのが、北区と文京区の区界で見つけた不思議な石碑。明治の文豪たちが集ったといわれる田端文士村と呼ばれるエリアを、ぶらぶらと散歩をしていたら見かけたものなのですが、これが一体何なのかわからず、一緒に見てもらおうと思ったのでした。

 

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■「酒屋へ三里 豆腐屋へ二里」北区田端1-1-1

 
一人で来た時は解読できなかったのですが、さすが脂ののった男、ゲンは、「酒屋へ三里、豆腐屋へ二里だね。」と解読してくれました。日用品を買うにも遠くに行かねばならない辺鄙な土地の例えなんだそうです。
 
三里というと、今の感覚だと11.7km。その石碑のある田端から品川駅くらいまでの距離。お酒を買うのにそこまでいって帰ってこなくてはいけないのかと思うと、心が折れますね。乾杯して、すっと飲んじゃって、飲み足りないなぁと思ったって、往復23kmを移動しなくてはいけないのですから。
 
少し調べたところ、地域雑誌「谷中 根津 千駄木」10号(1986年12月20日発行)に、江戸時代後期に活躍した狂歌師の岸文笑(きしぶんしょう)が詠んだ「ほととぎす自由自在にきく里は 酒屋へ三里、豆腐屋へ二里」という句を石碑に記したものが、日暮里青雲寺(せいうんじ)にあったが、いつしか田端の料亭、天然自笑軒に売られた。という内容が、地元民の証言として掲載されていました。
 
この天然自笑軒、昭和20年の空襲で焼けて廃業になっています。これが、そこにあった石碑だったのではないだろうか?なんて妄想が頭にむくむくと湧いてきましたが。これは憶測にしかすぎません。どなたか、この石碑が、誰によって、なぜ今ここにあるのか、ご存知の方がいらっしゃったらぜひ教えてください。

 
なにはともあれ、ひっそりと建っている不思議な石碑。田端は(地元民曰く)ちょっと辺鄙な場所らしいけれど、ここは、歴史が満ち溢れた場所なんだな、という印象が残りました。
 

とっても地味な境界密集地

この石碑から100m歩いたところに、トリプルジャンクションが100mの距離に2ヵ所登場する、境界密集地があります。ここは、境界協会(第5回の「区界で飲む」で登場いただいた小林さん主催)から、東京区部三大境界密集地の一つとして認定されているエリア。向かって西側のトリプルジャンクションが、文京区、北区、荒川区のトリプルジャンクション。東側が、文京区、荒川区、台東区のトリプルジャンクションで写真をみると遠くに北区が見えます。
 

 

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■西側のトリプルジャンクション(文京区、北区、荒川区)※北東から南西を写す。
 
「復元 江戸情報地図」(朝日新聞社 発行)の安政江戸の地図(1856)をみると、文京区と北区の境界線は、江戸の町奉行所が統治していたエリアを規定する、御仕置筋二可当町奉行支配場境筋という線と一致しています。
 

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■東側のトリプルジャンクション(文京区、荒川区、台東区)※南東から北西を写す。
 
この区界は荒川区と台東区の区界が、先ほどと同じ、御仕置筋二可当町奉行支配場境筋の跡で、台東区と文京区の区界は、当時ここを流れていた谷戸川(谷田川)の跡。この川は1921年(大正10年)に川を地下へ通したため外からはわからない暗渠(あんきょ)へと変わりました。今、ゲンが立っているのがその川跡の谷田川通りです。

 
二つのポイントのあまりの近さに、ゲンは「トリプルジャンクションの渋滞だ」と呟いていました。

 
100メートルの間に4つの地区が入り組んでいるこのエリア。閑静な住宅地で非常にひっそりとした雰囲気。トリプルジャンクションの合間に、こんな看板を見かけました。
 
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■もう少し歩けば見どころがあるよ!と応援しくれているかのよう。
 
でも、ちょっと待ってほしい。ここは歴史的にも面白い、区界密集地。(さらに今回は触れられないけれども、地形的にも面白い!)そんな素晴らしい観光資源を活かして、ぜひ、遠くのどこかではなく、今いるここがどれだけ素晴らしいか、表現してはいかがでしょうか?ちょっと目を引く看板とか、石碑とか、境界であることがわかる矢印だけでもいいのです。もっとここに足を運びたいと思う、私のような、ごく限られた人たちが大勢いるはずです。

 

よみせ通りはワクワクの連続

 
そのまま区界の谷田川通りを南に歩いていき、西日暮里からまっすぐ伸びている道灌山通りを渡ると、よみせ通りに入ります。このエリアから、谷田川は藍染川という名称にかわるのですが、このよみせ通りは、藍染川の暗渠(あんきょ)で、今回、よなよなエールを飲もうと思っている最終目的地の夕やけだんだんがある谷中銀座とT字型に交わる通りです。
 
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■よみせ通りは、台東区谷中と文京区千駄木の境界。
 
この通りのシンボルとなっているお地蔵さんのイラストは、この土地に縁のある俳優の中尾彬さんのものだそうです。まったく気づきませんでした。この通りの両側には、味のある、お店がいっぱい。

 
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■通りの右と左が違う区だとゴミ袋も2区分取り扱い。

 
この通りは、脂ののった男の心をわしづかみにしたようで、「住むのが楽しそうだ!」と、もはや仕事も忘れて、右や左に。つまりは、台東区と文京区の商店を行ったり来たり。そんなゲンをぼんやりながめながら、もはや空気の私。
 
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■いつまでも健康で美味しいお酒が飲めますようにと祈る背中。
 
 
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■日本再発見の顔はめ。何を再発見したんだか。

 

クラフトビール自販機界の聖地にたどり着く

 
さて、商店街を右に、左に、ふわふわと歩いていると、ある自動販売機の前でゲンの足がピタリと止まりました。
 
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■写真からは読み取れないけれども、感動で震えている。
 
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■いまだかつてないビールのラインナップの自動販売機に感動のあまり涙が左目からこぼれたのを、そっと隠したに違いない顔の角度。
 
ここまでビールのラインナップがマニアックな自動販売機は見たことがありません。ここはクラフトビール自販機界の聖地として認定してもよいかと思います。クラフトビールマニアによる、クラフトビールマニアに向けての自動販売機の出現で、喜びのあまり頭がくらくらして呆然と立ち尽くしてしまいました。
 

最終目的地、谷中銀座から夕やけだんだんへ歩く

 
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■いい加減、日も暮れてきて、おなかも減ったし、そろそろ飲みたい。
 
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■出来立てのメンチカツを購入。
 
谷中銀座には美味しいメンチカツ屋さんがあるので、そこで出来立てのメンチカツを購入。さて、さて、飲む気満々です。が、ゲンの表情からはやる気はあまり感じられませんが、結構長いこと歩いてきたから疲れたんですね。でもテンションは大盛り上がり。(書いていて無理があるような気がしてきた。)
 

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■谷中銀座の途中から、荒川区と台東区の区界が始まります。
 
冒頭で書きましたが、夕やけだんだん(夕焼けがきれいに見える階段ということで名付けられたらしい)の途中に区界があると信じて疑っていなかった私は、「あと数メートルで乾杯だから!」とゲンに声をかけて、いよいよ企画のクライマックスに突入するぞとそわそわ。ほかほかのメンチカツも買ったし、リュックの中のよなよなエールはいつでも飲める状態に!

 

 
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■区界は夕やけだんだんに無いと気づいた瞬間。
 
谷中銀座はじっこ、夕やけだんだんの階段の下まで着いて、私は自分が調べたことが間違っていたことに気づきました。区界は階段の下で、右に曲がっていたんですね。肝心のクライマックス。最終目的地の設定でおもわずうっかり。
 

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■オイ!ほんとにここでいいんだな?という怒りの視線をいただく。
 
ゲンはこの時、きっと怒っていたに違いありません。ただでさえ忙しい師走の寒い夕方に、散々連れまわして歩いた挙句、乾杯の場所としてつれてこられたところが拍子抜けだったということに。
 
「あははは、、、まっ、ここで乾杯しようか?」とひきつった笑いをしながら無理やり乾杯に持ち込もうとする私。だって、この企画は乾杯しないと終わらないのですから。無理やり、よなよなエールと、グラスをゲンに渡して、「では。ついじゃってください!!」
 
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お互いグラスにビールを注ぐと、何事もなかったように杯を合わせることにしました。夕やけだんだんを目的にしながらも、夕やけだんだんを上らないから、まったく夕やけを感じることのないただの街角で乾杯を。

 
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■乾杯!!!!!!!!!
 

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■脂ののった男は相手のミスも受け止める余裕がある。
 
ゲンは、ミスした私を責めることもなく、言葉少なめに、メンチカツとよなよなエールをがつがつと頬張っていました。「寒い時期(この日の外気は8度)にはちょっとぬるめのよなよなエールがちょうどよいね。肉の味がしっかりしていて、このソース無しのメンチカツがよく合うわ」という、企画の最後にとても素晴らしい感想をいただきました。
 

今まで私が何度もうっかりミスをやらかしても微妙な顔でフォローしてくれていたことを思い出し、良かったことも悪かったこともひっくるめて杯を重ねたい。という今回の目的は、ぼんやりですが果たせたような気がします。

 
区界を越えて乾杯すると、いつものよなよなエールがより美味しくなります。そして、いつもよりも少しだけ、相手と心と心を通わすことができます。ぜひ、あなたも区界を探して、誰かと乾杯してはいかがでしょうか?

 

区界で一緒に飲んでくれる人募集

ヤッホーブルーイングのスタッフでも、よなよなの里のお客様でも誰でもOK!あなたのおススメの区界で、一緒に乾杯してくれる人を募集しています。我こそはという方。よなよなの里の衣装・小道具係みんも宛にご連絡ください。お待ちしています。

 

衣装・小道具係 みんも

 

区界(区界)で飲む

 
第1回 都内で一番の急坂
第2回 東京のど真ん中で手漕ぎボートにのる
第3回 よなよなエールの超宴in神宮外苑軟
第4回 呑川(のみがわ)で飲めなかった
第5回 境界協会・主宰 小林政能さんと歩くプロの区界
第6回  心ときめく坂のY字路
第7回 谷中銀座の片隅でメンチカツと飲む
第8回 健康をはかるタニタさんと歩く、冷えと疲労の区界ウォーキング

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